林業に転職を考えているんだけど、いつの時季がいいんだろうか?夏は暑いし、冬は寒い……いきなり転職して体がついていくかな?
どうも、元フォレストワーカーのkitajinと申します。
本記事では、林業と季節についてのお話をしていきたいと思います。
林業に転職を考えているあなたは、林業に関する様々な事を調べているかもしれません。
仕事内容や給料には目がいくと思いますが、しかし、最適な転職時季についてはあまり気にしていないのではないですか?
実は、林業にとって、転職に最適な時季があるのです。
これを間違えると、せっかくやる気があっても最初から躓いてしまう、なんてことになりかねません。転職君が言っているように、いきなり厳しい季節にさらされてリタイアする人も実際いるのです。
では、いつの時季が最適なのでしょうか?
答えは秋です。
夏を終え、段々と涼しくなり、冬が訪れる前の秋こそ、体に負担が少なく林業に馴染んでいけます。
逆に、絶対に避けるべき季節は初夏です。
ではなぜ、初夏が良くないのか?具体的な理由や林業と季節の関わりなどについて詳しく解説していきたいと思います。
合わせて、四季によっての作業の違いについての話もしていきたいと思いますので最後までお付き合いください。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
本記事は、静岡県浜松市の林業を基準にしています。雪国では意見が違うと思うので、転職先の林業を調べることをオススメします。
春
良い点
春は転職時期としては、最適な季節です。
林業の転職としても、三寒四温という言葉があるように冬が終わり、徐々に暖かい日が多くなり、体の負担が少なく、働きやすい季節です。
また転職としても、年度が変わり心機一転、新しい職場で働く事はやる気がでます。
悪い点
春は、大地が冬眠から目覚めて活動を始める時季なので、様々な変化が起こります。
雪国では、雪解けが始まり雪が崩れたりします。
また、杉や檜の花粉が飛ぶ季節なので花粉症の人は困るかもしれません。花粉症は、ストレスや睡眠不足で悪化するので、転職したことで症状が悪化するかもしれません。
更に、草木の成長は早く瞬く間に、雑草や新緑で山は覆いつくされていきます。
暖かくなってきたかと思えば、瞬く間に初夏、梅雨、そして本格的な夏がやって来るので、体力が出来ていない時に夏をむかえなくてはいけません。
作業
春は植林の時期です。苗木の準備や育成、地面の整地、苗木の植え付けが行われます。
また、枝打ちなども早春に行われます。
枝打ちは、幹を傷つけないように細心の注意を持ってやらなくてはいけないので、早春と晩秋が良いとされています。
理由としては、晩春から初夏にかけて、木というのは水分を多く吸い上げるので、その影響で皮がむけやすく、幹が傷つきやすいのです。
一度傷ついた幹は再生されず、そのまま成長を続けます。傷ついた所から、腐り、シミが入り木としての商品価値が下がります。
ですので、この時期くらいから木の扱いには気を使います。なるべく木の皮がめくれないように丁寧に扱うのです。
昔の林業は、秋から冬にかけて伐採をして、冬から早春まで山に置いておくと、木の中の水分が乾燥して軽くなるので、春に造材、搬出、運搬をしていました。
夏
良い点
林業にとっても、夏は過酷な季節です。
唯一よい点があるとすれば、活気のある季節で、生命力が満ち溢れた大自然を満喫できます。
人間も自然の一部ということを思い知らされることが、夏の素晴らしい点だと個人的には思います。
悪い点
なんと言っても、夏の暑さは太陽の光が頭上から降り注ぎ、灼熱の中で作業をしなくてはなりません。
熱中症になりやすく、日陰にいても汗が止まらず、お腹に穴が空いているのでは?と疑いたくなるほど、水をいくら飲んでも喉が渇きます。
しかも、生命力に溢れる虫や動植物が、そこら中にいて人間の進行を妨げます。晴れの日だけではなく、曇りや雨の日でも構わずに体にまとわりついてきます。
体に纏わりついてくる代表的な虫としては、蚊やマダニ、ブヨ(ブト、ブユ)、アブ、メマイトなどです。
また、名前も知らない謎の虫もたくさんいます。害があるのかないのか分かりませんが、地味に嫌なのが湿度が高い時に出る小さくて柔らかな羽虫です。
飛んできて、顔や体に纏わりついてくるのですが、それが痒くて、誤って掻いたりすると簡単に潰れます。フワフワと飛んで近づいてくるので「フワ虫」と勝手に呼んでいました。
また、雨もよく降り、身につけるものが湿って更に汚れているので洗濯に困ります。特に梅雨のカッパは、連日の雨で渇く暇もなく、着ると非常に蒸し暑く湿っているので、不快感を覚えます。
このように夏は、気温や湿度などの直接的ダメージだけでなく、環境ストレスも非常に大きい季節です。
作業
夏は、植林した苗木の成長を促すため、除草や追肥が行われます。
杉は、6月中旬~8月下旬。檜は、7月上旬から8月下旬に苗木の成長を促すための下刈りを行います。
また、至る所に雑草が生えるので、草刈り作業が多くなります。
反対に、伐採にとっては、夏はよくない季節として知られています。
前述の通り、木が水を吸い上げることによって表皮がめくれやすくなり、重機で掴んだだけでベロッと皮が剥がれます。
皮がめくれた材木には、木に穴を開ける虫がやって来ます。
キクイムシとかカミキリムシなどが卵を産むために木の中に入って来るのです。特にヒメスギカマリという小さなカミキリムシが伐採した杉や檜の上を忙しく歩き回っています。
虫が入った材木は商品価値が下がり、安値で買われるので害虫駆除の薬を撒きます。
昔の林業では、基本的に夏は伐採をやらなかったと聞いたことがあります。
その代わり、山に暮らしている人たちは林業ではなく農業の方に力を入れていたといいます。昔の林業家は、里山に暮らし、春夏は農業、秋冬は林業と兼業でやっていたそうです。
現在は一年中、伐採作業をします。
秋
良い点
秋も、残暑が厳しいときは夏とほとんど変わりません。
しかし、涼しさを感じ始める10月ごろは、1年で一番過ごしやすい季節となります。
僕が勝手に思ってることですが、10月の終わりから12月の中旬ぐらいまでが、林業をやる上で最適な季節だと思います。
この時期に林業を始めれば、仕事に慣れる頃に夏をむかえられます。
冬も厳しい季節ですが、体を動かしたり厚着をすれば何とかなります。しかし、暑さは防ぎようがないのです。(最近は空調服が出ているので、一昔前よりは楽になったかもしれませんが)
冬に関しては、地方でかなり環境が違うのでご注意下さい。
悪い点
秋といえば、本州に台風が上陸する頻度が多くなります。9月から10月頃まで油断がなりません。
台風の被害は、林業にとっても多大な影響を及ぼすことがあります。
土砂崩れで林道が通行止めになったり、風倒木と言って、木が風によって、根っこから倒れてしまうのです。酷いと山全体の木が風倒木になる、なんてこともあります。
風倒木の恐ろしいところは、倒れている木が一本ではなく、数十本、時には数百本と折り重なっていて、下の木が上の木の重みで、弓なりになっていることがあるところです。
迂闊に切り離した途端に、張力が解放されて自分の方に切り離した木が跳ね返ってくるのです。跳ね返った木により、過去に何人もの人が命を失くしていると聞きたことがあります。
また、秋は変化の季節でもあります。
動植物は冬に備えて動き始めるので、思わぬ危険に出会うことが多くなります。
例えば、蜂は10月ごろが一番攻撃的になり危険だと言われています。他にも、ツキノワグマは、秋に冬眠に備えて活発になるといいます。
作業
木が水分を吸い上げるのを止めて、皮が付いてくるので、晩秋から初冬にかけては一番、伐採に適した時期だと言われています。
伐採と同じで、木の成長力が弱まっているうえに葉も落ちているので、間伐作業がやりやすいのです。
また、虫が減ってくるのもうれしい点です。
蚊やハチなどの厄介な存在を気にしながら作業する必要がなく、虫刺されのリスクがぐっと減ります。夏場には雑草など草花が地面に縦横無尽に生えていますが、冬に向かい減っていくので、安全で効率的に作業が進みます。
枝打ちも晩秋にするのが適していると言われています。
昔の林業では、この時期に一気に伐採作業をしていたと言います。
冬
良い点
冬は、作業をする上で寒くてたまりませんが、しかし、仕事をしていると体が温かくなり慣れてきます。
とにかく動いていないと寒いので、作業効率が上がるのかもしれません。しかし、一旦作業を止めて車の中に入って休憩をすると、外に出たくなくなります。
また、出勤後の朝の作業を始めるにも気合が入ります。
悪い点
何と言っても寒さでしょう。
手がかじかみ、感覚がなくなり、チェーンソーを持つのも力が入らなくなる時があります。
細かい作業もできずに苦労させられます。
どんなに厚い手袋をしても、指先の冷えを回避することはできません。
また、寒いことで筋肉や関節がこわばることでケガをしやすいの季節です。その他にもぎっくり腰になりやすかったり、風邪をひいたりと体調を崩しやすいです。
そして、林業の職業病である、振動障害になりやすいのもこの季節です。
振動障害とは、チェーンソーの振動により、指先の血管が収縮して血液が行き渡らなくなる病気です。別名、白蝋病ともいわれています。
林業における振動障害として問題にされてきたのがレイノー現象(蒼白現象)です。この現象は、振動へのばく露が続き、寒さを感じるときに現れやすいとされています。刈払機等の機械から伝えられる振動のうち、低周波振動は骨・関節に、また、高周波振動は循環器系により多くの割合で影響するといわれています。
Ⅰ 振動障害及びその予防に関する知識 | 労働安全衛生対策 | 林業・木材製造業労働災害防止協会 (rinsaibou.or.jp)
実はボクも、振動障害の疑いありで、再検査を受けたことがあります。比較的あたたかな静岡県でも振動障害になる可能性があるのだから、雪国の人は、リスクがさらに上がると思います。
作業
冬は、木の皮がしっかりくっついているということと水分をあまり吸っていないので水分含有率が低いということが、伐採に向いている季節とされています。
なので昔は、冬に伐採した木を山に放置して、木の水分を抜いて、春に搬出していたそうです。
しかし、現在は、一年中伐採をして、伐った木はその場で造材、搬出、運搬とずいぶんサイクルが早くなっています。
雪が降る地域では、林道や作業道の除雪作業が必要となります。
また、雪起こしといって、雪圧によって倒伏した幼齢木を起こし、縄などで固定して木を垂直に育てる作業もあります。
〇本気で林業に転職を考えている人はこちらへ👇
林業支援制度『緑の雇用』からなら、自分の希望する地域の事業体と繋がれます。
まとめ
林業の転職最適な時期は早春か晩秋です。
しかし、地域によっても違いがあるので、自分が働きたい地域の事をよく調べておくことが最善です。
なるべくなら、自分が生まれ育った地域かそれに似た地域で林業に従事することをオススメします。雪国の事をまるで知らない人が、いきなり雪国で林業に従事する大変さは想像以上だと思います。
また、雪国でなくても山奥は平地より気温が低く、浜松市でも、長野との県境である水窪町などは良く雪が積もることで知られいます。
林業の魅力の一つに、1年間通して、四季を感じられるということがあります。
日々刻々と過ぎていく季節を感じながら、生活できることは人間本来の姿に立ち返るような、そんな気持ちにさせられます。
よくわかりました。これで安心して転職に備えられます。