林業に転職を考えているんだけど、林業って、将来どうなるんだろう?無くならない産業なのかな?
どうも元フォレストワーカーのkitajinです。
今日は、林業の未来について紹介します。
林業に転職を考えているあなたは、林業を取り巻く環境が、今後どうように変化していくのか気になるのではないでしょうか?
自分が転職をしようとしている業界が今後どうなるのか?それにより、自分の将来も変わってくるので気になるのは当然です。
少し前まで衰退していく産業、儲からない仕事などと言われていた林業ですが、現在は社会情勢が変化したことや、脱炭素などの環境問題などが叫ばれるようになったことにより、注目度が高まっています。
また「スマート林業」に代表される林業機械の技術革新などのイノベーションも起きており、
結論から言えば、林業業界には明るい未来が見えてきそうです。(個人的感想ですが)
それでは様々な角度から、林業を取り巻く未来がどのように明るいのかについて解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
林業にはどんな未来が待っているのか?
世界的な流れ
2020年、COVID-19のパンデミックが起こり、世界的に輸出入がストップしたことで木材の不足が叫ばれました。
輸入に頼っていた日本の木材生産は追い付いて行かず、ウッドショックといわれる木材の高騰が起きたのは記憶に新しい出来事です。しかし、実はそれ以前から、世界的に木材の需要が高まっているという背景もあったのです。
米中を筆頭に住宅の需要が高まり、その他でも経済発展を遂げた国があったりと、世界的に見て木材の需要が高まっていたのです。
ですので、今後の木材需要は輸入に頼るのではなく、地産地消をしていかなくてはならくなるかもしれません。それどころか、海外から輸入するのではなく、逆に、世界に向けて木材を輸出していくようになるかもしれないのです。
特に日本の杉やヒノキの品質のいい木は、世界的に見ても価値が認められており、中国や韓国の富裕層に好まれていると言います。
そういうわけで、今後は、日本の材木の需要は高まると予想もできます。
「現在の日本には60億立方メートルもの森林蓄積がある。世界最大の林業国、ドイツの2倍もの規模で、我々は宝の山の上にいるようなものだ」
基調講演をした内閣官房国家戦略室の梶山恵司・内閣審議官は、日本の山林の有望性をこう説明した。
「今後40年間は有望」説も 持続可能な日本の"もうかる"林業: 日本経済新聞 (nikkei.com)
また、世界的に見て、木材面積は減少傾向にあり、脱炭素などの問題と相まって、森林への関心がますます高まることが予想されます。
国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価2020:Global Forest Resources Assessment2020(FRA2020)」によると、2020年の世界の森林面積は約40億haであり、世界の陸地面積の約3割を占めています。
また、世界の森林面積は2010年から2020年の間に世界全体で年平均470万ha減少しています。1990年から2000年の間の森林が純減する速度は年平均780万haであり、森林が純減する速度は低下傾向にありますが、減速ペースは鈍化してきています。
世界で最も包括的な森林資源の分析 新たな形式で発表 | FAO駐日連絡事務所 | Food and Agriculture Organization
ですので、将来、本当に木材が海外から輸入できなくなる日が来るかもしれないのです。そう考えると、林業を発展させていくことこそ、重要課題になることは明白です。
行政の取り組み
日本には豊富な木があることは確かですが、それを伐り出して、利益をきちんと出し、利用するまでのサイクルが上手くいってないのが現状です。
また、近年、世界的に叫ばれている地球温暖化問題や、SDGsなどとも絡めて考えていかなければ、林業の将来像が見えてきません。
そこで、林野庁の職員が考えたとされるSDGs(森林の持続可能な経営)について取り上げてみます。
林野庁は、SDGsと森林の関係について考え、2050年までに、これらの取り組みを実現するべく、コンセプトブック5つのアクションプランを掲げています。
アクション1:緑と木が生み出す、人にやさしい働き方
オフィスの緑化・木質化や自然豊かな地方でのリモートワークを通して、人にやさしい働き方につながる取組を紹介します。
アクション2:木がつなげる私たちの暮らしと地域
地域の木材を使うことで、地域の文化や伝統を伝え、人と人との絆を結ぶ取組を紹介します。
アクション3:新しい生活を、森の力とともに
森が非日常となった今だからこそ、人々を惹きつける森の特別な遊び方・過ごし方を紹介します。
アクション4:サーキュラーエコノミーで暮らしをもっと豊かに
サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現へつながる木材利用の取組を紹介します。
アクション5:イノベーション×森のめぐみがもたらす未来
木から新素材や建築部材を生み出し、より便利で持続的な暮らしを実現する取組を紹介します。
単なる産業としての林業だけでなく、環境やレクリエーションなど多岐に渡り、生活に根付いた森林育成を掲げています。人がより良く暮らすために欠かせない森林の育成を、未来に繋げていく取り組みとしているのです。
また、先ごろ、岸田首相が杉の花粉症問題の対策をすると国会で答弁したことも記憶に新しいと思います。
岸田総理は、国会で花粉症について「もはや我が国の社会問題である」と指摘したうえで、関係閣僚会議を開催し、省庁横断で対策に取り組む考えを示しました。
【速報】岸田総理、花粉症は「もはや我が国の社会問題」 関係閣僚会議開催を表明 | TBS NEWS DIG (1ページ)
スギ花粉問題をどのように取り組むのか、今後決めていくでしょうが、林業に影響があることは間違いありません。
民間企業の取り組み
近年、民間企業でも、林業への取り組みが変わっていき、様々な事業スタイルを持った企業が誕生しています。
新たに林業に参入してくる企業なども増えて、新しい流れとなって林業界を変えて行こうとしています。サントリーなどの企業も、自社の製品の為に森の整備に乗り出し、森林を守ることで持続的に水の供給も可能にするような取り組みをしています。
森づくり最前線 | サントリー天然水の森 | サントリー (suntory.co.jp)
また、「第六次産業」という言葉が出てきて、林業と異業種との組み合わせにより、新たな道を切り開く動き出てきました。もし、これが上手く回るようになれば、考えも及ばなかった林業の道が見えてくる可能性もあるのです。
多くの事業体が補助金を頼りにしていたのが、今後は自分たちで利益を出していくことが出来るようになる。そんな事業体がますます増えていくのではないでしょうか。
林業機械の進歩
少し前から林業では、「スマート林業」という言葉が聞かれるようになりました。
「スマート林業」とは、大雑把に言えば最先端のテクノロジーを駆使して、林業の効率化を図ろうという取り組みのことを言います。
ドローンを使った山の解析図の作成や肥料の散布や苗木や道具の運搬をはじめ、高性能林業機械の完全自動化に向けての開発がすでに行われているのです。
北信州森林組合、信州大学、長野県、アジア航測株式会社の連携プロジェクトでは、所有者や境界データが入った森林GIS(※)を基に、航空レーザーやドローン等の情報通信技術(ICT)で得たデータを組み合わせ、伐採計画を作成しています。このように、スマート林業による「森林の見える化」を進め、作業の効率化に取り組んでいます。
林業の未来は 「長野モデル」から (shinshu-u.ac.jp)
またその他にも、林業機械メーカーのIWAFUJIでは、以下のような一人で集材が出来るタワーやーだの開発などを行っています。
これらは、労働力不足を補ったり、危険な作業を失くし、作業の効率化を目指そうとする動きであり、将来的には必ず、普及していくはずです。
これにより、安定的な木材の生産と作業員の負担が軽減して、林業は益々働きやすい環境が整っていくのではないでしょうか。
林業従事者
林業に関わる従事者についてはどうでしょうか?
戦後に増えた林業就業者は、高度成長期、バブル期などを経て衰退していきます。原因としては様々なモノがあるでしょうが、林業が抱えるマイナスイメージが先行したり、職の多様性により選択の幅が広がったからかもしれません。
そこで、林野庁を中心として、少人数や経験が浅くても林業の担い手になるための取り組みとして、高性能林業機械の導入、緑の雇用を代表する従事者の育成に努めてきました。
おかげで、徐々に林業を担う人手が増えていき、平成2年を底に平成22年まで僅かに上昇しています。
参照 林業労働力の動向:林野庁 (maff.go.jp)
その結果、林業に新しい可能性を見出し、起業する人たちが現れて、林業ベンチャーなる言葉が生まれたようになり、補助金に頼らない新しい林業のかたちを模索する若い人たちが活躍できる環境が整ったように感じられます。
しかし、多くの人にとっての問題は、結局食べて行けるのか?ということかもしれません。
結局食べていけるの?
転職を考えている人が知りたいのは、結局、儲かるかどうかの一点かもしれません。
上記で取り上げたように多くの可能性があることは分かったけど、結局、それが作業員一人ひとりにどれだけ還元されるかが問題です。
この問題に一つの答えとして上げられるのは、最初に取り上げた、「元内閣官房国家戦略室の梶山恵司・内閣審議官」の言葉を借りるとしたら、
梶山氏によると、現在の日本の森林を健全に保つには毎年5000万立方メートルの伐採が必要で、それだけ切っても年間1億立方メートル分ずつ森林蓄積は増えていくという。「人材とともに持続可能な森林を育成すれば、今後40~50年はまともな林業を日本に根付かせることができる」
仮に年間5000万立方メートルの木々を国内消費すれば、木材の国内自給率は50%になると試算されている。こんな豊かな資源を抱えた日本の山を見直す時期は、確かに今しかないかもしれない。
「今後40年間は有望」説も 持続可能な日本の"もうかる"林業: 日本経済新聞 (nikkei.com)
林業再生は民主党の21世紀成長戦略の柱の一つに位置付けられている。再生プランは、100万人の雇用、市場規模4兆円という壮大な森林産業育成へつながる設計図を描いている。
林業再生の知恵袋「梶山恵司」の突破力:FACTA ONLINE
氏の言葉が実現すれば、林業に従事する人は安泰なのではないでしょうか。
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林業支援制度『緑の雇用』からなら、自分の希望する地域の事業体と繋がれます。
まとめ
林業における様々な取り組みを見て、林業が今後、如何に伸びていく産業かが分かってもらえたと思います。
- 世界的に見て、木材の需要は伸びているが、それが日本にまで回って来る保証はない。また、脱炭素などの地球温暖化問題と合わせて見ても、森林整備は急務となっている。
- 行政は、脱温暖化と合わせ、持続可能な林業経営を目指して、2050年を目途に実現を目指している。
- 民間企業も独自に森林の価値に気づき、山林を守る事業を積極的に参入してきている。また、各地域で独自の取り組みがなされており、新しい林業の形を事業体単位でも模索している。
- スマート林業と言われる新たな林業機械の研究実験がなされて、益々少人数で多くの材積を得られるよう作業の効率化が日々研究されている。
- 林業に従事する若い年代は横ばいから僅かに伸びていて、女性の林業進出なども目立ち始めている。今後の取り組み次第で増える可能性は大いにある。
- 日本には世界に誇る森林があり、これを上手く利用できれば莫大な市場規模になる可能性を秘めている。
と言うことで、林業の未来が明るいということがよく分かってもらえたと思います。