林業に転職を考えているけど、林業は、仕事以外にも危険が潜んでいるって聞いたけど、どうしよう?転職しようか迷うなぁ?
どうも元フォレストワーカーのkitajinです。
現在、林業に転職を考えているあなた、林業には、作業の危険以外にも山の中の危険があります。
日本の国土の約70%が山林であり、外国に比べても起伏が激しい地形となっています。
普段見慣れた山でも、中に入ってみると、20メートル、30メートルの崖があったり、どこも同じような風景なので、気を抜いていると、道に迷うこともあるのです。
このように、林業では、職場となる山の中にも危険があります。
本記事では、林業に転職を考えているあなたに向け、職場となる山の中の危険について紹介しています。
林業の職業体験をしてもらうべく、細かく危険な箇所を書いておきましたので、最後までご覧になり、林業への転職を本気で考えてみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
山の中でのこと 地形編
道に迷う
意外かもしれませんが、林業をしている人間でも、山道を歩いていると道に迷うことがあります。
何しろ、同じような地形が周囲に広がり、情報が極端に少ないので、自分がどこを歩いているのか分からなくなるのです。
迷ったことでよくないのは、パニックになることです。
道に迷ったことでパニックになり、闇雲に歩き、体力を消耗します。向かった先が崖になっており、引き返すのが大変だからと、そこから降りようとして滑落する事故が、登山などではよく報告されています。
また、民家が近くにある里山でも、危険な箇所は存在します。
道に迷うのは、誰にでもあるものではなく、人の特性が関係していると思うかもしれませんが、入ったばかりの頃は、誰でも迷うことがあります。ですので、初めて入る山などは目印を覚えておくようにしましょう。
目印としては、樹種の違う木や岩や地形、木立の間から見える景色などがあります。また、迷ってもいいように連絡方法もきちんと確保しておいた方がいいでしょう。
また、地形図なども読めるようになることも、万が一には役立ちます。
昔話でもあるように、猟師でも迷うことがあるので気を付けましょう。
岩が落ちてくる
日本の山の地形は急勾配な場所が多いと最初に紹介しましたが、突然、石が斜面を転がってくることがあります。
道路標識に落石注意とありますが、落石が、自分の身に降りかかってくるのです。
斜面では、小さな石でも、一旦転がりだすと勢いがついてなかなか止まらず、当たればとても危険です。
更に、石だけでなく、伐り出した材木なども転がっていきます。
短く伐った木を「たんころ」などと言い、山に放置しておくのですが、そのたんころが何かの拍子に斜面を転がりだして落ちてくるのです。
転がり落ちないように処置をしているはずですが、不安定な斜面に置いてあるので、絶対安全ではないのです。
山の中では、上から何が落ちてくるか分からないということを頭の片隅に入れておいた方がいいです。
暗闇
山というのは日が暮れるのがとても早いです。
日が暮れると一気に暗くなるので、道がわからなくなったりします。
暗くなると、視界が悪くなるので危険が増します。
道に迷うことはもちろんですが、踏まなくていいものを踏んだり、タイヤを踏み外して、溝にはまり込むなんてこともあります。
暗闇での作業も危険です。視界が悪いので、伐採はできませんし、またライトをつけて重機の作業は、周囲の視界が悪いので、目を酷使して非常に疲れます。
枯れ木
山に生えている木は、様々な理由で枯れることがあります。
枯れた木は、そのままの状態を保ちつつ、徐々に朽ちていきますが、枯れてから間もないころは枯れているかどうか気づかない場合があります。
というのが、木が枯れはじめるのは樹冠の方からで、根っこに行くほど枯れるのが遅くなるからです。そして、作業員の目線は根っこに近いので、先端が枯れていることに気づかない場合があります。
生きている木なら、伐倒した木が当たったとしても、しなって、衝撃を逃がすのですが、枯れ木はまともに受けて、折れます。
すると、枯れている木に気づかずに作業をはじめ、伐倒した木が枯れた木に当たった衝撃で折れ、下で作業をしている作業員に落ちてくることがあるのです。
転びやすい
山の中は、足元にも危険があります。歩いている途中に障害物があり、転ぶことがよくあるからです。
転ぶ要因としては、地表に出た木の根や枝、雑草、倒木、石、段差などです。
特に気を付けたいのが、倒木の中を歩くときです。
倒木というのは、捨て切り間伐と言われる作業でできた木が、そのまま山の中に放置された状態の事です。
切り捨て間伐とは、年数が若い木を間引いて成長を促したりする作業です。伐った木を山に放置しておくので、切り捨てと呼ばれています。
本来は、切り捨てた木を細かくして、歩きやすいように処理しておくのですが、細切れにしないまま放置しておく業者がいます。そんな山に入ると、至る所に切り捨てられた木が散乱していて、歩くのがとても困難となっています。
枝も残っていることもあるので、衣服が引っかかったり、足を取られて転びます。そんな現場に遭遇した時は、面倒でも歩きやすい道を迂回した方がよいです。
また、山の中には至る所に段差があります。自然にできた段差や人工的に作った穴などがあるのです。
人工的に掘った穴は、里山などによくあり、(昔、農地だったり、炭窯を作っていたりしていた名残り)シダの中に隠れてたりします。
またシダが生えている箇所は、足元が見えづらくなっているので、転んだり、滑落する場合があるので、特に注意が必要です。
湧き水
山の中には、湧き水が出ている場所が、所々にあります。
山は、雨が降ると雨水を溜めておく貯水の役割をはたしているしているので当然ですが、水が多い場所には、生物も多いものです。
猪や鹿がやってきて水を飲んだりするので、それを狙って山ヒルやマダニが待ち構えています。
また、湧き水が出ているところは、コケが生えているので、足元が滑りやすいのも危険な要因となります。
雨が降れば、沢になったりする場合もあり、崩れやすくなっているのが特徴です。
様々な地質
山の中の地質は千差万別で、地盤がしっかりした岩山もあれば、火山灰が降り積もったような山もあります。
特に作業道などを作ると分かるのですが、とても道を入れられない山もあるのです。
また、地質によって、木も根の張り方を変えているので、岩の上に立っている大木などは、伐採した他の木が寄りかかっただけで、根っこから倒れてしまうことがあります。
そういう山は台風などで、山全体の木が倒れてしまうことがあります。
ちなみに、風で倒れた木のことを風倒木といい、風倒木になった木は、そのままにしておくと枯れてしまうので、根切りしなくてはなりません。
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山の中でのこと 植物・生物編
害虫
山には様々な害虫がいます。代表的なモノとしては、蜂、ダニ、アブ、蚊、毛虫などです。
特に蜂は、どこに巣を作っているのか気づかずに、巣に近づいて刺される被害にあいやすい虫です。林業で働いている人の中には、何度も刺された経験がある人が多くいます。
また、ダニも被害にあいやすい虫の一種です。知らぬ間に服についていたり、入浴時に体についていることに気づくこともあります。
害虫すべて回避することは難しいですが、対策があるとしたら、防虫スプレーと落ち着いて行動することです。
付近を頻繁に蜂が飛んでいる場合は目で追っていって近くに巣がないか探したり、マダニは休憩ごとに体についてないかをチェックすることです。特に草むらに入った時などはマダニチェックをしましょう。
また、夏などの虫が多い時は、害虫避けを塗っておくことは必須です。ダニ避けや蚊よけスプレーは本当によく効くので必ず作業前には体中に散布してから仕事をしましょう。
蜂は香水などに寄って来るので、仕事中は使用しない方がいいです。
得体の知れない生物の宝庫
山に入ると、本当に名前の知らない奇妙な虫に出会うことがあります。自分が新種を発見したのかと思うほど奇妙な虫たちに出会い、それが危険かそうでないかはわかりません。
ほとんどの虫は、害がないのですが、中には地味に害のある虫がいます。その中の代表的なのは、人間によって来る虫です。
体に纏わりついてきたり、目の中に入って来ようとするメマイトという虫もいます。夏の湿った時などは、謎の虫たちがひっきりなしに纏わりついて来て、それだけで疲弊します。
野生動物
山の中でよく見かける動物の中で多いのが、鹿と猪ではないでしょうか。
猪は夜行性なのであまり昼間に遭遇することはありませんが、それでも、出会った時は注意が必要です。毎年、猪の牙に襲われてケガをする人が後を絶ちません。
また、鹿も、雄鹿は気性が荒く、縄張り意識が強いと言われています。
地域によって生息動物が違うので、どういう生物がいるのかをしっかりと職場の人に聞いておいた方がいいでしょう。喜んでいろいろな情報を教えてくれるはずです。
蛇
日本には、十種類の蛇が生息していると言われています。その中でも本州には八種類の蛇がいます。
アオダイショウ・シマヘビ・ジムグリ・ヤマカガシ・ヒバカリ・シロマダラ・マムシ・タカチホヘビです。
この中で、山の中で遭遇率が高いのは、ヤマカガシとマムシです。どちらも毒蛇ですが、人に向かってくることはほとんどありません。
しかし、気づかずに間近を通ったり、踏んだりして噛まれることがあります。また、どんな生き物にも共通していますが、産卵期には注意が必要です。
噛まれたときは放置せず、落ち着いて仲間を呼び、すぐに山を降りましょう。
ヒル
ヒルもまた、山で遭遇する面倒な生物の一種です。と言っても、特別、大きな被害があるわけではなく、知らない間に体につき、血を吸わます。
吸われた後に痒くなったり、人によってはアレルギー反応が出たりします。また、他の動物を先に襲っている場合など、感染症のリスクもあるようなので油断は禁物です。
ヒルに噛まれたら、毒を外へ押し出すように指でつまみ、そのあと傷口を消毒して、数日は体調に変化がないかを観察しましょう。
変化がある場合は、病院に行って診察してもらいます。
植物
動物だけでなく、山の中では植物もまた厄介な存在です。
特に触れるとカブレる漆などは、日本全国の山に自生しています。触れるとカブレや痒み、腫れなどを引き起こします。他にも、トウダイグサやキンポウゲ、イラクサなど触れるとカブレや痒みを起こす植物です。
もし、それ等に触れてしまった場合は、水でよく洗い、患部には直接触れないことです。酷いときは、皮膚科に行って薬を処方してもらいましょう。
また、面倒なのが、シダなどです。シダは、場所によっては一面に生えていて、行く手を遮ります。
一度足を踏み入れると方向感覚を失ったり、足元が見えないことから躓いたり、斜面から滑落したりと大変危険です。またシダの中にはダニなどがいて、服についてくるので厄介です。
刈払い機などで処理できればいいのですが、大体の場合、実害がないのでそのまま放置されます。
最後に
山の中は人が暮らす場所とはまるで違う世界です。その中で、如何にストレスなく過ごしていくかが、林業を続けていく上では大切です。
山の危険は、事業体で対策をしてくれないかもしれないので、自分で気を付けるようにしましょう。
事前の準備をして、落ち着いて行動すれば、山の危険のほとんどは脅威になりません。
安全に山の中で過ごす準備とは、以下の準備をしっかりしておきましょう。
- 基礎体力をつけておく
- 疲労を溜めない作業をする
- 地形や危険個所など、事前に情報を得ておく
- 害虫スプレーなどを所持しておく
- 救急箱などを車に積んでおく
- 携帯の電波は常に確認しておく
- 雨のあった翌日などは特に注意する