
どうも、林業個人事業主のkitajinです。
林業現場では、作業者同士がそれほど離れていなくても、声が届かないことがあります。
チェーンソーや重機が動いている。斜面の上下に分かれている。木や地形に遮られて相手の姿が見えない。大声で呼んでも気づかれず、何度も叫ばなければならないこともあります。
困るのは、単に会話ができないことだけではありません。
危険をすぐに伝えられない。作業を止める合図が届かない。ちょっとした確認のために相手のところまで移動しなければならない。さらに、大声で話し続けることが、作業者同士の苛立ちや余計なストレスにつながる場合もあります。
そこで便利なのが、作業中でも通話できる無線機・インカムです。
私も林業現場で使っていますが、一度使うと、それまでどれだけ「声が届かないこと」に疲れていたのかが分かりました。
この記事では、林業作業に無線機をおすすめする理由、実際に役立った場面、使って感じた注意点、製品を選ぶときのポイントを紹介します。
この記事で分かるこ
- 林業現場で無線機・インカムが役立つ理由
- 無線機の導入によって安全性や作業効率がどう変わるのか
- 大声による苛立ちやストレスが減る理由
- 無線機が特に役立つ林業作業
- 実際に使って感じたメリットと注意点
- 林業用の無線機・インカムを選ぶときのポイント
- 初めて導入する人に向いた製品と本格的な業務用製品の違い
- 無線機と一緒に必要になる関連用品
この記事を書いた人

- 静岡県浜松市で10年間林業に従事(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 現在 静岡県浜松市愛知県新城市などで個人事業主として、主に素材生産などを請け負っています
- 林業に関する基本的資格はすべて取得(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営(運営歴5年です)
- noteでは「五十代、林業個人事業主の独り言」として、林業コラムを書いています (林業コラムはこちらhttps://note.com/banbi_ni201)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。


無線機をオススメする理由

危険をすぐに伝えられる
無線機を使う最大の理由は、危険を早く伝えられることです。
たとえば、次のような場面があります。
ポイント
・予想外の方向へ木や枝が動いた
・伐倒方向へ人が近づいている
・作業者の位置を確認したい
・重機をすぐに止めてほしい
・ワイヤーやロープが危険な状態になった
・現場内で異常が起きた
無線機があることで、安全が保証されるわけではありません。しかし、危険を伝える手段が一つ増えるだけでも、大きな意味があります。
作業の指示や確認がしやすい
危険時だけでなく、普段の作業でも便利です。
- もう少し引いてほしい
- いったん止めてほしい
- 次の木へ移動する
- 燃料や道具を持ってきてほしい
- 重機をこちらへ動かしてほしい
- 休憩や作業終了を知らせる
これまで相手のところまで移動して伝えていた内容を、その場から話せるようになります。
作業を中断する回数が減る
ちょっとした確認のために、斜面を上り下りする必要が減ります。
単に仕事が速くなるだけではありません。「たぶん伝わっているだろう」という曖昧な判断が減り、互いの状況を確認しながら作業できるようになります。
大声を出さなくなり、余計な苛立ちが減った
林業現場では、声を届けるために怒鳴るような大声を出すことがあります。
最初は怒っているわけではありません。しかし、何度呼んでも気づいてもらえず、さらに大きな声を出しているうちに、本当に苛立ってくることがあります。
一方、呼ばれた側も、ただの作業指示だと分かっていても、怒鳴り声で言われると、責められているように感じるかもしれません。
無線機を使えば、離れた相手にも普通の声で話せます。
私自身、無線機を使うまで、大声を出すこと自体がストレスになっているとは気づきませんでした。普通の声で話せるようになって初めて、現場では「声が届かないこと」から余計な苛立ちが生まれていたのだと感じました。
無線機は、声を遠くまで届けるだけでなく、現場の怒鳴り声や感情的な行き違いを減らす道具でもあります。
無線機が特に役立つ林業作業

伐倒作業
伐倒方向や退避状況を確認し、周囲に注意を促すときに役立ちます。
集材・搬出作業
重機の運転者と地上の作業者が、材やワイヤーの状態を確認しながら作業できます。
ウインチやワイヤーを使う作業
引き始めるタイミングや停止の合図、ワイヤー周辺の安全確認などを伝えやすくなります。
作業道づくり
重機から見えない場所の状況や、誘導する側からの指示を伝えるときに役立ちます。
斜面の上下や離れた場所での作業
見通しが悪く、大声も届きにくい場所ほど、無線機の便利さを感じます。
林業で無線機を使って感じた注意点

安い製品は雑音に疲れることがある
林業現場には、チェーンソー、重機、風、衣服や枝葉がこすれる音などがあります。
雑音を拾いやすい製品を長時間使うと、会話しやすくなるどころか、耳や頭が疲れることがあります。価格だけでなく、ノイズの抑制性能も重要です。
人数分そろえると高額になる
無線機は、一台だけでは十分に機能しません。複数人で使うなら、基本的には人数分が必要です。
イヤーマフやヘルメットも含めてそろえると、導入費用は決して安くありません。
壊れても簡単に買い替えられない
林業現場では、雨、汗、泥、木くず、衝撃などにさらされます。
高価な製品の場合、故障しても気軽に買い替えられません。修理対応や交換部品の有無も確認しておきたいところです。
コード式の無線機は安いが扱いづらい
無線機本体とイヤホンマイクをコードでつなぐタイプは、比較的安く導入できます。
しかし、林業現場ではコードが衣服や装備に絡んだり、枝に引っかかったりすることがあります。また、無線機本体を腰や胸元に取り付ける必要があり、作業中にコードや本体の位置がずれることもあります。
実際に使ってみると、価格は安くても、林業作業には扱いづらいと感じました。
その点、ヘルメットに直接装着するタイプは、コードを気にせずに使えます。マイクも口元に固定されるため、作業中でも話しやすく、林業現場では最も使いやすいと感じています。
チャンネル式よりBluetoothインカムが使いやすい
チャンネルを合わせて送信ボタンを押す一般的なトランシーバーよりも、Bluetoothで接続してそのまま会話できるインカムの方が便利です。
送信するたびにボタンを押す必要がないため、両手を使う作業中でも連絡を取りやすくなります。相手の言葉にすぐ返事ができ、普通に会話するような感覚で使えることも大きな利点です。
ただし、Bluetoothインカムは、製品によって通信距離や接続できる人数が異なります。山林では地形や木によって通信が不安定になることもあるため、購入前に通信距離や同時通話人数を確認する必要があります。
無線機だけに頼ってはいけない
無線機だけ使っていれば、すべてが分かっているとは限りません。
以下のことが起こっている可能性があるからです。
注意点
・バッテリー切れ
・通信の途切れ
・電源の入れ忘れ
・音量設定の間違い
・故障や接触不良
・相手が聞き取れていない
重要な指示は復唱してもらい、返事を確認する。伐倒前には目視や従来の合図も併用する。「伝えたつもり」で作業を始めないことが大切です。
林業用無線機・インカムの選び方

林業用の無線機やインカムは、価格やカタログ上の通信距離だけで選ばないことが大切です。実際の作業環境を考え、次の点を確認します。
騒音の中でも会話できるか
林業現場では、チェーンソーや重機の音、風や沢の音などが通話を妨げます。
音量の大きさだけでなく、周囲の雑音を抑える機能があり、作業中でも相手の声を聞き取れる製品を選ぶ必要があります。
ハンズフリーで会話できるか
チェーンソーや重機を扱っている最中に、送信ボタンを押すことは簡単ではありません。
ボタンを押さずに会話できるBluetoothインカムなら、両手を使ったまま連絡を取れます。同時に会話できる人数や、接続方法も確認しておきたいところです。
一日の作業に耐えられるか
山林では雨や汗、泥、木くずなどにさらされます。防水・防塵性能に加え、バッテリーが一日の作業時間を通して持つかを確認します。
手袋を着けたまま電源や音量を操作できることも重要です。
ヘルメットに取り付けられるか
製品によって、対応するヘルメットやイヤーマフ、取付用アダプターが異なります。
現在使っている装備に取り付けられるか、マイクを口元に固定できるか、交換部品や修理対応があるかまで確認しておく必要があります。
山林で必要な距離まで通信できるか
カタログに記載された通信距離は、障害物の少ない環境を前提としている場合があります。
山林では、斜面や尾根、谷、樹木などによって通信状況が変わります。そのため、カタログ上の最大通信距離だけでなく、実際に使用する地形や作業者同士の距離を考えて選ぶことが大切です。
林業作業におすすめの無線機・インカム

私が実際に使っている無線機
私が林業現場で使用しているのは、SENAの「BiKom 20」です。
本来は自転車やアウトドア向けのインカムですが、ヘルメットに取り付けられるため、林業現場でも使用できます。
一般的なトランシーバーのように、話すたびに送信ボタンを押す必要はありません。接続した作業者同士で、普通に会話するような感覚で話せます。
チェーンソーや重機を操作しているときは、両手を自由に使えることが重要です。いちいち無線機を手に取らずに話せるため、作業を中断せずに連絡できます。
本体重量は約20gと軽く、見通しのよい場所での通信距離は最大800mです。メッシュインターコムの通話時間は最大8時間、防水性能はIPX7となっています。また、日本の技術基準に適合したTELEC認証も取得しています。item.rakuten.co.jp
ただし、通信距離の800mは、見通しのよい環境での数値です。実際の山林では、地形や木、斜面などの影響を受けるため、カタログどおりの距離で通信できるとは限りません。
また、一日の作業時間によっては、最大8時間という通話時間を短く感じることもあります。使用前の充電確認が必要です。商品写真や装着した状態の写真もあると、非常に説得力が出ます。
本格的に導入したい会社・チーム向け
毎日のように無線機を使用する会社や、複数人で作業する現場では、価格だけで製品を選ばないことが重要です。
林業現場では、チェーンソーや重機の騒音、雨、汗、泥、木くず、枝との接触など、無線機にとって厳しい条件が重なります。そのため、音質やノイズ対策に加え、防水性、耐久性、バッテリーの持続時間まで確認する必要があります。
複数人で使用する場合は、接続できる人数だけでなく、途中で通信が切れたときに自動で再接続できるか、新しい作業者を簡単に追加できるかも重要です。設定が複雑な製品では、作業開始前の接続だけで時間を取られてしまいます。
また、毎日使う装備だからこそ、故障したときの修理対応や、マイク、取付部品、バッテリーなどの交換部品が用意されているかも確認しておきたいところです。本体価格が安くても、部品を交換できず、故障するたびに買い替えることになれば、結果として費用が高くなる場合があります。
会社やチームで本格的に導入するなら、まず少数を購入して実際の現場で通信距離や音質、装着感を確認し、問題がなければ人数分をそろえる方法が安心です。価格の安さよりも、毎日の作業で安定して使い続けられることを重視して選びます。
車に充電器を置いておくと安心
無線機は、充電を忘れたり、使用中にバッテリーが切れたりすると使えなくなります。
そのため、USB充電器と充電ケーブルを車に置いておくと安心です。休憩中や移動中に充電できるため、万が一のバッテリー切れにも対応できます。
ただし、作業中にケーブルをつないだまま使用すると、枝や装備に引っかかるおそれがあります。充電は、休憩中や作業をしていない時間に行いましょう。
まとめ|無線機は便利グッズではなく、意思疎通を支える安全装備

林業用の無線機は、なくても作業できないわけではありません。以前は、大声や身振りで連絡を取りながら仕事をしていました。
しかし、一度使うと、声がすぐに届く安心感と、怒鳴らなくてもよい快適さが分かります。
危険を早く知らせる。作業内容を確認する。ちょっとした頼み事を伝える。そして、聞こえないことから生まれる余計な苛立ちを減らす。
無線機は、作業効率を上げるだけの便利グッズではありません。複数人で林業作業をする現場において、安全と意思疎通を支える装備の一つです。
価格や雑音、故障などの問題はありますが、声が届かないことに不便や危険を感じている現場なら、導入を検討する価値は十分にあります。