どうも、元フォレスト ワーカーのkitajinです。
本記事では、『「チェーンソーによる伐木等の特別教育」を受けてみた』というタイトルで、お話をしていきたいと思います。
なぜ、元フォレストワーカーであるkitajinが今さらチェーンソーの安全教育を受けるの?と思われるかも知れませんが、これには深い訳があります。
ボクが林業を辞めたのが、2019年の7月で、翌年の2020年8月にチェーンソーの特別教育の規則が改正されたのです。
改正には、一度特別教育を受けた人も再度、受けなおさなくてはいけない事になっていて、(チェーンソーの知識と実技が免除された数時間程度の講習)ボクはそれを知っていたのですが、もう二度とチェーンソーを持つことはないだろうと思い、受けずに辞めました。
しかし、今回、新たな職を得るためにチェーンソーを使う可能性が出てきたので、免除の講習を受けようと探したのですが、すでに特別教育の免除はやっていないと全てに断られたので、仕方なく3日間(計18時間)の『伐木等の安全衛生教育』を受けなおすことにしたのです。
だったら、この際しっかりと教育を受けて、伐木の特別教育とはどういうものかということをブログに載せて、林業転職を考えている皆さんに紹介しようかと思い立ち、気合いを入れて受けてきた次第です。
説明が長くなってしまいましたが、それではこれから本編に行きたいと思います。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
〇この記事でわかること
- 伐木等の特別教育の概要
- 伐木等の特別教育の意味
- 伐木等の特別教育の実技の雰囲気
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チェーンソーによる伐木等の特別教育 1日目(関係法令・振動障害・労働災害実例)
1日目は、関係法令・振動障害・労働災害実例です。
林業の関係法令は、労働基準安全法、そして、労働基準安全衛生規則という3つの柱になっております。
それぞれの行政によって、法律と行政処分という形をとっております。
〇安衛則とは?
労働安全衛生規則とは、労働者の安全と健康を確保し、快適な作業環境を作り出すため厚生労働省が発行した省令のこと。「通則」「安全基準」「衛生基準」「特別規則」の4つから成り、通称「安衛則」ともいわれています。
労働安全衛生規則とは? 目的、罰則、改正内容 - カオナビ人事用語集 (kaonavi.jp)
労働安全衛生法で大まかな原則を定め、より具体的な事項を労働安全衛生規則でルールや行動の指針を定めています。
労働安全衛生規則は、災害や危険物質などが見つかるたびに規定が追加されていくようになっています。また、安衛則に違反すると、刑事責任だけでなく、行政処分や民事責任も問われる可能性があります。
林業で危険と言われている行為はほとんどすべてが安衛則で禁止事項だった
過去に重大な労働災害を及ぼした事例は、ほとんど安全衛生規則で禁止条例となっています。
例えば、チェーンソー作業中に伐採した木が、伐採者でない作業員に当たることで死亡する労働災害が過去には多発しています。
安全衛生規則では、伐木しようとしている木の長さの2倍の距離を立ち入り禁止区域にしています。
立入禁止(安衛則第480条1項)
事業者は、造林、伐木、かかり木の処理、造材又は木寄せの作業(車両系木材伐出機械による作業を除く。以下この章において「造林等の作業」という。)を行つている場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働者を立ち入らせてはならない。
労働安全衛生規則第481条(立入禁止)と関連法令、判例 - 無料で法律、判例検索 - とある法律判例の全文検索β (thoz.org)
立入禁止(安衛則第480条1項)では、かかり木になった木の周辺や玉切りの上下作業も禁止事項となっています。
その他にも、安衛則には過去の事故事例に基づいて、労働者に対する労働環境の保護と安全作業遵守が内容として盛り込まれています。
〇主な安全衛生規則
- 安衛則 第477条 危険防止措置の実行
- 伐木等の作業方法から生じる危険の防止措置(安衛法第21条)
- かかり木処理作業での危険防止(安衛則 第478条)
- 伐倒の合図 (安衛則 第479条)
- 造材作業での危険防止(安衛則 第480条)
- 立入禁止(安衛則 第481条)
- 悪天候の作業禁止(安衛則 第483条)
- 保護帽の着用(安衛則 第484条)
- 下肢の切創防止用保護衣の着用(安衛則 第485条)
- 墜落する恐れのある場所等の危険の防止措置(安衛則 第21条の2)
- 要求性能墜落制止用器具の使用等(安衛則 第518条の2)
- 振動等による健康被害の防止措置(安衛則 第22条)
- 労働者の健康、風紀及び生命の保持のための装置(安衛法 第23条)
- 特別教育の実施(安衛法 第59条3項)
- 健康診断(安衛法 第66条項)
※もし、これらのことを守っていない事業体がある場合は労働基準監督署に行って、相談・申告をしましょう。
振動障害
振動障害とは、チェーンソーなどの振動器具を長時間使うことにより、指先の抹消血管が破壊されて血流が無くなり、最悪壊死してしまう労働災害です。
具体的な症状は、手指や腕にしびれ、冷え、こわばりなどが間欠的、又は持続的に現れ、さらに、これらの影響が重なり生じてくるレイノー現象(蒼白発作)を特徴的症状としています。
職場のあんぜんサイト:振動障害[安全衛生キーワード] (mhlw.go.jp)
林業(チェーンソー・伐木作業関係)における労働災害事例 平成31年~令和4年
労働災害事例(作業内容) | 伐採 | かかり木 | 裂け | 蔓がらみ | 滑落 | その他 | 計 |
20代 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 7 |
30代 | ‐ | 4 | 1 | 1 | 1 | ‐ | 7 |
40代 | 2 | 1 | 2 | 3 | ‐ | 1 | 9 |
50代 | 7 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 14 |
60代 | 10 | 6 | 3 | 1 | 1 | 2 | 23 |
70代 | 8 | 4 | 2 | 5 | 1 | 6 | 26 |
80代 | 1 | ‐ | ‐ | ‐ | 1 | ‐ | 2 |
不詳 | 2 | 1 | ‐ | ‐ | ‐ | 2 | 5 |
計 | 31 | 20 | 10 | 12 | 6 | 14 | 93 |
その他の項目は、落ちてきた材や枝に激突したやチェーンソーによる切創、また原因が複合的なモノを選んでいます。
労働災害事例の表を見てもらうと分かるように、圧倒的に60代、70代の事故が多いのが分かります。
高齢になると体力の衰えが顕著になり、若いころなら逃げられていた事でも体がついてこずに労働災害に合う頻度が上がります。
また、各事故事例を見ると特徴が分かります。
例えば、蔓がらみなど、身体機能が衰えた70代と作業になれているはずの40代が多いのが分かります。
ちなみに蔓がらみを知らない人に向けて説明すると、蔓が、木と木の間をつなぐように生えていて、一方の木を伐倒すると、蔓でつながった別の木が一緒に倒れてくることを言います。
つながっている木が、蔓に栄養を奪われて枯れている事もあり、枯れ木が折れて伐採者の頭上に落ちてくることもあり、大変危険なので、伐採者は常に伐採する木が蔓が絡んでいないか頭上を確認しなくてはいけません。
70代の人は、目が悪くなったや体力的な衰えなどが考えられますが、40代の人は恐らく作業に慣れて、つい蔓が絡んでいるのを確認し忘れていた場合が考えられます。
一方、30代にかかり木処理の労働災害が多いのは、作業には慣れて楽をすることを覚えたことが労働災害に繋がったのかもしれません。
これだけの人たちが亡くなったことを肝に銘じて、労働災害を起こさない環境づくりが大切ではないでしょうか。
チェーンソーによる伐木等の特別教育 2日目(チェーンソー作業の安全講習)
2日目はチェーンソー 安全講習の座学です。実際にチェーンソー作業をする上で、どんなことに気を付けるべきかをテキストを参考に学んでいきます。
チェーンソー作業の服装と装備
〇チェーンソーの作業の装備(安全に作業するために必要な装備)
- チェーンソー(よく目立てをした切れるチェーンソー)
- 防振手袋
- 袖しまりの良い服装
- 防護ズボン(チャップス)
- ヘルメットと防塵用フェイスガード、耳栓(イヤーマフ)
- 滑りにくい靴、つま先が固い安全
〇その他に必要なモノ
- 燃料(1日フルに使うなら、3~5リットル)
- 目立て用ヤスリ
- ボックススパナ
- 替え刃
- クサビ
- クサビを打つハンマー
- チルホール
- ロープ
- 木回し フェリングレバー(落ちている木とロープでも即席に作れる)
作業現場を取り巻く労働環境
台風や雷の時の非難
悪天候の作業禁止(安衛則 第483条)強風・大雨・大雪などの悪天候の時は、危険が予測されるため作業を中止することとなっています。
特に、近年はゲリラ豪雨に代表されるように、不意に降水量が増加することもあり、雨による土砂災害や道路や橋の決壊が各地で起こっています。
災害に合わないように、天候が悪化すると予想される時は、作業を止めて速やかに山を下りることをオススメします。
強風 | 10分間の平均風速が毎秒10メートル以上 |
大雨 | 1回の降雨量が50ミリメートル以上 |
大雪 | 1回の降雪量が25センチメートル以上 |
中震以上の地震 | 震度階数4以上 |
暴風 | 瞬間風速が毎秒30メートルを超える風 |
作業現場の整備
労働安全衛生法第23条
事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法第23条 - Wikibooks
この法令では、事業者は労働者に対して、安全で快適な職場と健康を保持する措置を講じなけらばならないとしています。
ちなみに風紀の保持とは、社内の風紀秩序のことを言っています。
つまり、事業者は健康と秩序を保った職場にする努力をしないといけないという訳です。
害虫などの対処法
蜂やダニに代表されるように、害虫の被害あった時の対処法をあらかじめ用意しておくべきです。
万が一、蜂に刺された場合、刺された箇所に、針が残っていないかを確認して、残っていたら直ちに抜きます。
水があれば、水で患部を洗い、毒を抜くように吸引器を使います。(なければ指でつまんで毒を押し出す)
刺された箇所が腕や足なら、心臓に近い方をゴム紐で止血します。
赤く腫れたところに、抗ヒスタミン薬を塗ります。
初期症状に発疹、流涙、咳、嘔吐、下痢などがあれば、直ちに山を下りて医師の診察を受けた方がいいでしょう。
アナフィラキシーショックが疑われる場合は、エピペンを注射して救急車を待ちます。
熱中症対策
熱中症対策も近年言われるようになってきました。
林業では、熱中症になる可能性が高く、ボクが働いていた時も、同僚などが何度が熱中症になって救急搬送されたことがあります。
ボク自身も熱中症一歩手前、気持ちが悪くて頭痛がしたことがあり、慌てて木陰に逃げ込み休んだことを思い出します。
熱中症対策としては、直射日光を地肌に浴びないことと、水分塩分をこまめに取ること、もし、熱中症が疑われるなら、クビ、脇の下、股の間などを冷やすと良いと言われています。
作業前の準備
作業地の調査
現地を調査した人は、どういう山でどういう危険があるのかも調査しておかなくてはなりません。
地質や斜面の勾配、その他障害物があるのかや、携帯電波が通じるかどうか、緊急車両の誘導、走行路などの説明もできるようにしておくとよいでしょう。
それを書き出して、作業者全員に教えなくてはなりません。
また、リスクアセスメントを実施して、どのような危険があるのかを作業者全員の共通認識にしなくてはなりません。
作業計画
作業現場を如何に効率よく、安全に作業するかを考えて事前に作業計画を作成します。
事前調査に基づき、山割りをして作業員同士が重なり合わないようにします。
山割りとは、広い山で作業者が多く居る現場に、山を幾つかに分けて同時に作業することです。
山割りは見通しの悪い山の稜線や渓谷を山割するのは避けるようにしましょう。
ミーティング
安全に作業するための取り決めとして、作業前のミーティングを実施します。
ミーティングすることにより、作業手順、作業者の配置などを全員が把握して安全に作業ができることを目指すのです。
伐木作業
続きましては、いよいよ伐木作業に入ります。伐木作業をきちんと行うことで、自分だけでなく、他の作業員の安全も確保できます。
準備
チェーンソー作業を行うには、まずチェーンソー作業を行うための装備をきちんとしないといけません。
防振手袋、 チェーンソー以外の作業服などきっちり用意しといて、チェーンソー作業ができる状況にしておきます。
チェーンソーの点検整備が済んでおり、いつでもエンジンをかけて伐採ができる状態にあることを言います。
伐採開始
いよいよチェーンソーで木を伐る段階に入ります。
まずは、倒す木の周りをきれいに片付けます。
足場が良くなったら、周囲を一周してみて、幹を叩いてみて、内部に穴が開いていないかを確かめます。
また、頭上を見上げながら枝が周囲との木の接触していないか、ツルがついてないかなどの確認をします。
次に、伐倒方向です。
伐倒方向は、倒しやすい方向が良いですが、そうもいかないのが現実です。
作業のしやすさや安全、効率や風向きに至るまでを考慮して、条件にあった場所を選んでいきます。
伐倒方向が決まれば、次は退避場所を確保です。
待避場所は、安全に避難できる場所を選ぶのですが、伐倒方向の反対側の 3m くらい離れた立木の後ろがベストだと言われています。
これら全てを一つ一つ指さし呼称するとより確実に安全を意識できます。
合図
チェーンソー作業に入る前に、周囲に人がいないかを確認したら、作業の開始の合図を告げる笛を吹きます。
笛の合図は、チェーンソー作業を開始合図、いよいよ伐倒する直前、伐倒が終了した合図と計三回吹きます。
全て同じでは混乱するので、笛の合図をどのように吹くかを、事前に決めておきます。
伐採手順
伐倒方向、退避場所が決まったら、笛を吹き、いよいよチェーンソーにエンジンを入れて伐採を開始します。
倒す方向に正対するように受け口を作り、追い口を入れていきます。
最初に、受け口の下となる部分を水平に切れ込みを入れていきます。だいたい伐倒木の1/3から1/4 の幅で入れます。
そして、受け口の切り込んだ長さと同じだけの幅を上に取って、45℃の三角形になるように合わせて、切れ込みを入れていきます。
そうすることにより、正三角形の三日月形の受け口ができます。
基本的に追い口は受け口の最初に入れた切れ込みから約3cmぐらい高くして、水平に切れ込みを入れていきます。
続いて、追い口を入れていき、つるを伐根直径の1/10程度残します。
追い口に切れ込みを入れる途中でクサビを打ち、チェーンソーの軌道を確保します。
つるをきちんと残し、後はクサビで倒すのが理想です。あと少しで倒れると思った時に笛で倒れる合図を送り、クサビを打って倒していきます。
安全に伐採を終えるには
チェーンソー作業を安全に終えるためには、木が倒れる瞬間にどこにいるかです。
立木がどういう状態で倒れるかを予想して、退避場所に向かいます。伐倒した木以外にも周囲の木にも注意が必要です。
伐倒したことにより、周囲の枝が落ちてくることもありますし、枯れ木などが引っかかって、折れて落ちてくることもあります。
特に今は、山が荒れているので蔓などが絡んでいる場合が多く、立木と一緒に枯れ木が絡まり倒れてくるという事故が数多く報告されています。
ですので、一番危険な瞬間、木が倒れて地面に着くまでの間を安全に避難するために、退避場所にいる必要があるのです。
気を付けるポイント
伐採以外のチェーンソー作業
チェーンソー作業は、伐採以外にも枝払いや造材もあります。
これらの作業を安全に行うためにも色々な工夫が必要です。
なんと言っても、チェーンソーが自分の体に当たらないように作業をしていかなくてはいけません。
保護具をつけるのはもちろんのこと、チェーンソーを自分の体でうまくコントロールできるように体に密着させながらチェーンソーを扱います。
また、作業中はなるべくチェーンソーを持たないように、木の上に置いた状態で動かすという技術が必要となってきます。
上下作業の禁止
チェーンソー作業をする時は、どんな場面でも上下にならないように作業をします。
上下で作業することで、造材した材や石などが転がり落ちる危険があるからです。
また、上の者は、下の者を気にしながら作業をするのは気をつかい、作業効率が悪くなります。
余計な危険を作らないということが何より安全作業では大切です。
転落・墜落の注意
移動中にも注意が必要です。
山は至るところに斜面があり、移動中に誤って転落する恐れもあります。
移動する時は歩きやすい場所を選んで移動します。
もし、現場までの道のりで危険な箇所がある場合は、事前にロープなどを転落防止措置を講じておいた方が良いでしょう。
〇本気で林業に転職を考えている人はこちらへ👇
林業支援制度『緑の雇用』からなら、自分の希望する地域の事業体と繋がれます。
チェーンソーによる伐木等の特別教育 3日目(実技)
3日目は チェーンソーの 扱いの実技です
チェーンソーの点検・整備
チェーンソーは使う前に、チェーンソーがきちんと始動するかの点検をしなくてはいけません。
特に気をつけないといけないのは、ソーチェーンの摩耗や亀裂をチェックすることとスターターロープが引けるか、エンジンがかかるかということをチェックします。
点検をしていないと、昨日まで何ともなかったのに、急にエンジンがかからないという場合もあります。
また、ちゃんとチェーンオイルが出ているか、ブレーキバーが効くかなども点検しておきたいところです。
整備
毎日、仕事終わりに簡単な整備を行います。
クラッチカバーを外し、ソーチェーンとガイドバーを外し、中の汚れなどを取り、ガイドバーのバリなどが出ているかどうかを確かめます。
マフラー周辺の汚れやスプロケット、チェーンオイル周辺などの汚れも落としていきます。
チェーンソー全体の汚れを落としていき、最後にキャブレターやエアフィルターの掃除をして終了です。
目立て
チェーンソー作業において、肝心なのが目立てです。
チェーンソーの目立てがしっかりできるかどうかで、安全、疲労、作業効率が変わってきます。
ですので、チェーンソーを目立てをしっかりできるかが重要なのです。
目立ては、きちんと固定した平らな場所で、良く研げるる丸ヤスリを使い、上と横の刃が30度になるようにヤスリを押して研いでいき、上刃と横刃が交わる部分が60℃になるように研ぎぎます。
戻す時は、刃にヤスリを当てないようにして戻し、左右両方の刃を均等になるように研いでいきます。
エンジンのかけ方
スターターを引いて、エンジンがかかるかを確認します。
チョークを最初に引いておいて、スターターを引くと、エンジンが最初の爆発を起こし、その後もう一度やってかかるかどうかを試します。
また、チェーンソーがエンジンがかかるだけではなく、チェーンオイルが出るかどうかも確認します。
スターターを引く時は地面に置いて、ハンドルを左手で抑えて、右手でスターターを引きます。その時、引っかかりのようなものがあるので、その引っかかりのところのみ力を入れて、後は力を入れなくてもエンジンがかかります。
チェーンソーの扱い方
チェーンソーを扱う時は、体に密着させ摩擦抵抗により疲れないようにします。
体から離して使うと腕だけで持ち上げる状態となり、疲れるので、体に密着させてなるべく脇を締めて、重みを体で受け止めるように扱うと疲れずに作業できます。
実際に木を切ってみる
実際に目立てをしたソーチェーンを使って、木を切ります。
しっかりと目立てをしたチェーンソーは、刃を木の上において、スロットルを握るだけで真っ直ぐあっという間に下に切れていきます。
目立てができていない刃だと、いつまでも木に食い込んでいかず、時間がかかり、力で押すように切るので体への負担も大きくなります。
チェーンソー作業のほとんどは、目立てで決まるといっても過言ではありません。
最後に
今回、改めて伐木等の特別教育を受けてみて思ったのは、チェーンソーの安全作業の知識は、最初に受けたこの講習の中にほとんど詰め込まれていたということです。
しかし、それでも事故が起きてしまうのかというと、安全作業は分かっていても、それをやらせない要因がたくさんあるからです。
一つは、個人が安全に作業していないというのと、もう一つは、事業体が安全に対しての意識が低いということです。
安全に作業しなくてはいけないと分かっているはずなのに、利益のために積極的に危険な作業をさせる事業体も数多くあります。
もし、あなたが安全をおろそかにする事業体を選んでしまった場合、速やかにその会社を去るか、さもなくば自分で改善していくかしかありません。
改善するように進言しても無駄ならば、労働基準局などに申告をしてすれば改善されるかもしれないので、遠慮せずに労働基準局に申告していきましょう。
事業者も労働者も、矛盾のない作業環境に置くことこそが、安全に作業できる基本だと経験を通して思ったところです。