林業転職

【林業の作業現場】始まりから終わりまでの流れをざっくりと解説

転職君

このブログで林業の事が分かり始めたけど、そういえば林業の仕事って具体的にどんな風に始まり、どんな風に終わるんだろう?

どうも元フォレストワーカーのkitajinです。

本記事では、一つの現場における林業作業の始まりから終わりまでを紹介しています。

未経験者にとって、林業とはどんな仕事をしているのか疑問に思うのではないでしょうか。ボクも林業の世界に入るまで、まるで林業のことを知りませんでした。

現在は、YouTubeの動画などで断片的な作業風景は見ることができますが、部分部分の抜き取りであって、全体像は掴めません。そこで、本記事では、林業の作業現場の始まりから終わりまでを紹介していきます。

一つの現場で行われる作業はどのようなものなのでしょう?これを知ることにより、林業の転職の後押しになるかもしれません。

kitajin

この記事を書いた人

kitajin
  • 静岡県浜松市で10年間林業に従事

(素材生産業者で伐採を主にやっていました)

  • 林業に関する基本的資格はすべて取得

(林業架線作業主任者の国家資格取得者)

  • 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営

(運営歴1年の新人です)

林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。

※本記事には、プロモーションが含まれています。

本記事はボクが働いていた浜松市にある素材生産業者を参考にしたケースです。

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作業現場の仕事の流れ

山の中の風景

仕事のはじまり

林業の仕事は、受注から始まります。

発注元は、森林組合であったり、他の事業体や国有林の入札や公共事業であったり、個人の山主や知り合いです。

また、事業体の中には自社で山を持っていて、そこでのみ仕事をするケースもあります。ボクが働いていた会社は、自社の山もありましたが、幅広く仕事を請けていました。

また、事業体によっては、国有林の伐採を入札で、落札して仕事を取る場合もあります。

境界線の調査・測量

作業現場に入る前、現場の山の境界線の確認をします。

保存してある地図と比較して、所有者同士に来てもらって、地図と境界線が合っているのか確認をとります。

山林には、その山の所有者を示す地籍測量図というものがあるのですが、かなり前に作られているため正確でない場合が多く、また、測量が済んでいないところもあるため、実際に自分の脚で歩いて、どこが境界線かを調査するのです。

測量により、作業現場の面積、距離が分かる他に、樹木の蓄積や現場の傾斜なども分かります。蓄積量を調べることによって、伐採を行った際に、どれくらいの材積量が大体わかり、搬出してどのくらいの金額になるかが予想できます。

測量は山の広さにもよりますが、狭ければ、1日~2日。広ければ3日~5日はかかります。

また、平成 28 年の森林法改正により、市町村が所有者や境界等の情報を林地台帳として整備する制度を創設しました。林地台帳により、昔のような石や大木といった目印で境界を決めているのではなく、明確な境界が分かるようになりました。

除伐

調査を終えて、隣接する境界線がわかったら、次は作業現場内の下草や雑木などを除伐します。

除伐とは、作業現場内にある雑草、雑木などを刈り払い機で刈り倒していく作業のことをいいます。除伐をすることによって、現場に入った時に見通しが良くなり、作業をやりやすく、安全面でも効果があります。

除伐は、大きな事業体だとそれ専門の班があり、小さな事業体は、どこかに外注するか自分たちで行います。

除伐作業は、作業現場の勾配や生えているのが木か草か、どれくらい伸びているのかで作業範囲が大きく変わります。それでもおおよそ、1日300㎡くらいは作業できるのではないでしょうか。

除伐のことをそうじ刈りと呼ぶところもあります。

作業計画の調査

除伐をした後は、いよいよ作業現場の調査を請負である事業体が入り、調査をします。

調査の目的としては、どうやったら、作業を効率的に進めるのかを調べるためです。作業道を入れた方が良いか、それとも架線集材の方が効率的か。また、何処に道を通せば、より効率的に木の集材、搬出できるかなどです。

調査は、事前の測量で得た地図を参考にやっていきます。地図である程度、地形はわかるのですが、やはり現場に行って、実際の目で見た方がより確かです。

また、択伐と言って、あらかじめ伐る木を決めるために調査に入る場合もあります。伐採する木に印をつけて、樹種と径級、胸高直径を1本1本、計ってメモを取り、それを元請け提出していました。

この調査も広さが関係しますが、大体、1日あれば現場を見れます。

作業道設立または架設

以上を経て、全ての事務手続きが完了してから作業を始めます。作業のはじめは、搬出の為の道づくりです。

作業道作りの場合、経路上にある木を伐採して根を抜いていきます。そして、山側の法面を削り、谷側の斜面を埋めて平らにしていきます。

その後ろを、別の作業員が道の為に伐った木を造材して搬出していきます。道が完成した所から、間伐作業を始めていきます。

架線集材の場合は、線が通る間の木を伐採して、次に線に近いところから外側へと伐り進んでいきます。線に当たらないところまで伐ったら、架設でもいいですし、全ての木の間伐、造材を済ませて架設することもあります。

後は出材するだけの状態にしておくのです。

作業道の場合は、日50メートルと言われていました。もちろん現場の条件により、それより距離が長くなったり短くなったりします。

架設の場合も現場の地形や架設の方法(いろんな方法がある)、作業人数により変わってきます。簡易架線集材といわれるモノなら、数時間で線を張って、集材し終われば、素早く撤収を繰り返す方法もあります。

間伐または皆伐

いよいよ素材生産業者の作業員が本格的に現場に登場する作業です。

小さな現場なら2~3人のひと班で入り、伐採する者と重機に乗って伐採した木の集木、造材をする者、搬出、運搬などをする者に分かれて作業を開始します。

現在の間伐は、作業現場の約30%の木を間伐するとよいと言われているので、3本に1本を伐るようにしながら作業を進めていき、伐採者は常に重機のオペレーターを気にしつつ、伐採していきます。

皆伐の場合は、全ての木を伐ってしまうので、緩勾配地などでは道を入れながら伐採、造材、搬出などを同時にしていくという作業方法です。

また、現場によっては高性能林業機械の導入で、すべてを機械で行い、チェーンソーを持った伐採者がいない現場もあります。(ボクがいた事業体ではまだ導入していませんでした)

作業道間伐の場合、作業員一人当たりの木の搬出量が3~5㎥、架線集材の場合は2~3㎥くらいは搬出していました。工数は、現場の出材量(事前の調査で分かっている)で、1日当たりの作業量を割って、おおよその工数が決められています。

造材

造材は、倒した木を用途に合わせて切りそろえることを言います。

市場に流通している2,3,4,5,6mの長さに切るのですが、切る場所は、架線集材の場合は山の中で、作業道では作業道上でした。

また、造材も機械造材と手造材があります。言葉通りなのですが、機械造材は、ハーベスタやプロセッサーと言われる高性能林業機械を使い、一瞬で造材を終えます。

手造材とは、1本1本、曲がりや傷など木を見ながら、チェーンソーで丁寧に造材していくことを言います。

林齢が長いの木や経口が太い木などは機械では造材できないのでチェーンソーの造材となります。

大体一本の木から、3~5本の材が取れます。根っこの方の太い部分から元玉、二番玉、三番……と続き、上に行くほど価値が下がっていきます。

搬出

搬出とは、造材した木を土場へと運ぶ作業のことを言います。

作業道の場合は、フォワダーや集材機、架線集材の場合はキャリーと言われる木を運ぶ搬器(はんき)を架線上を行き来させて、土場へと運びます。

搬出作業は一見、簡単のように見えますが、実はこれにも技術が必要なのです。いかに多くの材を一回に運べるかで工数が変わってくるからです。

と言って、あまりにたくさんの木を運ぶと事故に繋がるケースになるので、危なくない程度にフォワダーや集材機に積載して、土場まで運びます。

1日の搬出量はおよそ、10~20㎥の間でした。

搬出作業が、作業員にとって作業の集大成、至福の瞬間です。

運搬

土場まで持ってきた木をトラックの荷台に積み込みます。

木材を乗せたトラックは林道を通り、中間土場へ行き、そこで仕分けされて、市場や製材工場へと向かいます。

中間土場とは、市場などへ行く前に用途に合わせて長さの用材を集積しておく場所となります。

山林では、広く平らな場所が少ないので、山を下りた平らな場所が中間土場があることが多いです。

運搬するトラックは、林道はあまり広くないなで、せいぜい10トンクラスのトラックまでです。

ボクが働いていた会社では、半日働いて4トントラック一車、材を積んで帰るというパターンが多かったです。因みに4トンで7㎥弱積めました。

捨て切り

用材となる木を出し終えたら、切り捨て間伐をします。(切り捨てる木がある場合に限り)

切り捨て間伐とは、商品にならない林齢が若い木や劣勢木、搬出やその他の費用と相殺して採算が合わない木などを切りっぱなしにして、そのまま山の中に放置することを言います。

大体、20年目から40年目くらいの劣勢木を切り捨て間伐することが多いです。作業としては1日か2日で終わる量です。

撤収

全ての作業を終えたら、最後は撤収となります。

撤収の場合、架線集材と作業道の場合とでは、やり方が多少異なります。

架線集材の場合は、架設した集材装置の解体をして、それらをトラックに積み込めば終わりです。作業道の場合は、作業道の終点から始点までを慣らすのと、雨水を切る側溝を作りながら戻ってきます。

そして、重機を運搬用のトラックに積み込んだら、後は忘れ物がないかを見回りをして終了です。撤収は大体1日で終わります。

先に撤収作業をして、その後に捨て切り間伐をする場合もあります。

その後

間伐作業を終えた現場は、20年後に再び間伐するか、皆伐することになります。皆伐した山なら、その後、地拵えを行い、苗植えの作業に入ります。

このようにして、山のサイクルは続いていくのです。

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最後に

kitajin

林業の一つの現場の始まりから終わりまでを駆け足で紹介しましたが、あくまでも一例です。

林業の作業は、現場によりすべて条件が違い、その都度、臨機応変に変えていかなくてはいけません。

どういう機械で、どのように作業をしていくかを最初に間違えると、作業効率が大幅に変わってくるだけでなく、安全面にも影響が出ます。そして何より、山に悪い影響が出てしまうのです。

ですから、事前の調査は入念にしなくてはならないし、作業員全員が現場に対して理解を深めていた方がいいでしょう。

しかし、ボクが働いていた頃は作業ばかりを優先して、現場全体をあまり詳しく見ていませんでした。

今思えば、もっと現場について理解を深めた方が良かった気がします。ひと通り現場を見て回ることが余裕を生み、結果安全に効率よく作業ができる気がします。

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