林業転職

【林業と人間関係】山の仕事で人間関係に悩まないためには?

kitajin

どうも、元フォレスト ワーカーのkitajinと申します。

本記事では、林業における人間関係について取り上げています。

林業は、人と接することがあまりなく、人間関係を気にせずにできる職業だと思われがちです。

確かに、関わる人数は、他業種に比べて少ないかもしれませんが、その代わり、濃密であり、林業特有の人間関係もあります。

本記事では、林業にどのような人間関係が求められるのか、また、どういう人たちが働いているのかを、個人的経験を踏まえて、紹介していきたいと思います。

林業に転職を考えている人は、是非参考にしてください。

林業に求められる人間関係

作業員同士の関係

林業は、危険な業種と言われいます。実際に、毎年多くの人が労働災害にあっています。

労災事例の中で、いちばん多いのが伐採による事故で、その中でも悲惨なのは、自分の倒した木が他人にあたり、被災するという事例があります。

参照 02senninritsu-hikaku_1.pdf (rinsaibou.or.jp)

このような事故は、本来あってはならないのですが、なぜ起こるのかと言えば、やはりコミュニケーション不足と言わざるを得ません。

毎日、同じ作業をして、つい、自分のやっている作業が、他の作業員にも理解されていると思い込み、コミュニケーションを取らずに作業に当たるということがあります。

毎朝のミーティングなどで、同じ現場の作業員の仕事内容を知ることはもちろんの事、自分の作業を他の作業員に伝えることも大切です。

自分に与えられた仕事だけをすればいいというわけではなく、他の作業員が、どのような動きをしているのかを事前に知っていることが、労働災害を防ぐ手段となります。

上司との関係

林業では、少人数で班を作り(ひと班2、3人)、役割分担をしながら、作業を進めていくのが一般的です。

各現場にひと班が入り、(現場が広ければ、数班入ります)作業していくのですが、さらに上に、各班をまとめる人がいて、一番上に、社長などがいます。

どんな組織でも言えますが、作業員一人一人が、自分の作業を的確にわかって進行おり、それを上司へ伝えることで、組織も円滑に動くことができます。

作業に必要なものをシェアしたりするスケジュールなどを立てる時、どのくらいの進捗状況かを知ることが必要になってきます。

事業体の利益を最大化させるためには、進捗状況を明確に伝えるコミュニケーション、そして、各班のスケジュールを組むコミュニケーションなどが重要となってきます。

また、人間関係の悩みなども上司に相談することで、問題を最小限に抑えることができます。

同じ班の人たちとの関係を良好に保つことを、昔なら個人間の問題とされてきましたが、上司が問題点を把握して、間に入っているかどうかで、作業の進み具合、安全性、仕事の出来などに影響を与えてるのは確かです。

林業を取り巻く人たちとの関係

kitajin

仕事をしていく中で、事業体以外の人たちとの関わりも出てきます。

次は、どういう人たちと関わるのかを紹介していきたいと思います。

森林組合

森林組合は、地域の林業のいろいろな場面で、受け皿となってくれています。

森林組合は、地域の山の管理以外にも、補助金の申請や、測量などもやってくれます。また、小さな民間事業体と役所などの橋渡しなども森林組合の仕事です。

作業現場の団地化などを(近くにある区画をまとめて作業することを団地化するという)山主に交渉するのも、やってくれます。

森林組合は、林業をやっていく上で必要不可欠な関係となっています。

民間の事業体

他の事業体や個人事業主との関り合いもあります。

一社ですべてをまかなえる規模の事業体でも、個人事業主などに仕事を頼むこともあります。現在は、それだけ多くの山の仕事があるということです。

林業には、様々な業務で、専門にやっている個人事業主がいます。搬出作業、運搬、道づくり、捨てぎりや除伐、森林プランナーなど、彼らとともに仕事をする場合もあります。

また、地域の事業体の作業員の人たちとは、研修や健康診断などで、何かにつけて顔を合わせることがあります。

役所

林業は、今やは行政と切っても切れない関係にあります。様々な公共事業が、税金などで賄われてるからです。

補助金の手続きや公共事業の入札などで、役所の人間と関わることがあります。

林野庁 林業・木材製造業労働災害防止協会

市役所の職員だけではなく、林野庁や林業・木材製造業労働災害防止協会の職員の人たちなどとも関わる機会があります。

ちなみに、林業・木材製造業労働災害防止協会は、厚生労働省が管轄している労災に関わる活動をしている機関です。

主にチェーンソーや刈り払い機の安全講習や、労災が起きた時の調査などで関わることがあります。

緑の雇用の指導員

林野庁で行っている、緑の雇用事業は、林業を始める新人の教育を3年間集合研修を行います。その後、5年目にフォレストリーダー、10年目にフォレストマネージャーの研修もあります。

緑の雇用などの教育を指導員としてくるのは、林業技能者協会の人たちです。

緑の雇用は、県単位で分かれており、その地域の、長年林業に携わってきたベテランの人たちが指導してくれます。

市場

素材生産をする場合は、市場の人間と関わることが多いです。

市場の管理や材木の値段などのを評価したり、仲介業をやってくれます。

山主

山主とは、山を持つ人のことを指します。

山主の山から、素材の生産を請け負ったり、立木を買い取ったりして、その木を伐って、搬出するのが、素材生産者の主な仕事です。

人件費や機械代、燃料費などの経費を引いた木の売り上げ金を山主に還元します。

ですので、山主との関係は、良好にしておかなくてはなりません。

製材業者

製材業者は、林業の中では「川中」と呼ばれ、素材生産者と消費者の中間に位置します。

ちなみに、川上が素材生産などの木を搬出する人たち、川下が消費者です。

生産された木を市場に出荷する場合は、製材業者と関わることはありませんが、市場を通さず、直接、木の取引する場合に関わり合いができます。

機械屋

現在の林業には、高性能林業機械が欠かせません。

それらの機械は、いつも正常に動くとは限らず、一年も使っていると、必ず、どこか壊れます。

壊れた機械を迅速に直してもらわないと、作業に響くので、機械屋との関係も良好にしておきたいところです。(ここでは分かりやすく、あえて機械屋と呼びます。)

あと、事業は拡大するために、新しい林業機械の購入が必要になってきます。機械一つで、作業効率が大きく変わるので、機械屋と関わることが多くなります。

林業ではどういうた人たちが働いているのか?

林業には、どのような人たちが働いているのか、平均的なデータと個人的な視点で紹介します。

年齢

林業の平均年齢は40代中盤から後半となっています。

しかも、高齢者も多く含まれており、定年がないので、70代や80代でも働く人はいます。

林業は、働いてる年齢層が偏っているのが分かります。

参照 林業労働力の動向:林野庁 (maff.go.jp)

働いている人たちの世代間ギャップは大きく、さらに性別の違いも加われば、若い人や女性が働きづらい環境にあるのかもしれません。

ですので、これから林業で働こうと考えている人は、ジェネレーションギャップがあることを知っておかなくてはなりません。年齢が違うと、話があいませんし、働き方に対する考え方も変わってきます。

現代社会のように、コミュニケーション重視、作業の効率化などを無視した作業員なども一定数います。

作業員だけならまだいいですが、事業体全体が古い考え方で凝り固まっているケースもあるから厄介です。

そういう人たちと上手くやっていくのは、想像以上に大変であり、覚悟がいります。相手の理解も重要ですが、自分から歩み寄る努力も必要になってきます。

性別

林業の年齢層は90%以上が、男性です。

林業は、昔から体力勝負であり、汚れ仕事であったので、男性が多いのもうなずけます。

しかし、昔も、林業に女性は働いていました。山村で生活していた人たちは、男女分け隔てなく山で働いていたからです。

ですので、林業だからと言って、男性の仕事という考えは当てはまりません。

林業は木を伐るだけが仕事ではなく、他にも数多くの仕事があります。昔は、力仕事が多くて、補助的な役割が多かったでしょうが、現在は、女性が先頭に立って作業ができる環境にあります。

これだけ、機械化が進んだのですから、もはや性別は関係ないからです。

それでも、まだまだ女性にとって障壁が高い職業であることは確かです。そこを埋めるのが、コミュニケーションではないでしょうか。

また、男女比率からも分かるように、林業の職場での出会いは、ほぼ期待できません。

職場結婚を望んでいる人は、厳しいので、自分で探しましょう。

特徴

これは完全に個人的意見ですが、林業に飛び込んでくる人は、変わり者が多い気がします。これだけ多くの仕事があって、山の仕事を選ぶ人はマイノリティだからです。

また、林業で働く人は、真面目で、一つのことにこだわりがある人が多く、汚れや怪我などに鈍感な人が多い気がします。(もちろん、きれい好きな人も多いですし、ちょっとしたケガで休む人もいます。)

よく言えば、信念があるとか、一本筋が通っている職人気質、悪く言えば偏屈な人が多いです。

基本的に林業に従事する人は、皆まじめで、常識はずれの悪い人はいません。

また、業界自体も狭くて、昔から続く第一次産業なので、閉塞的な環境だと感じることがあります。

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さいごに

kitajin

林業は、危険、キツい、汚い、給料が安いという4 Kの職業です。

そういう職業に就く人たちは、真面目だけど、どこが変わっているという気がします。

変わっているとは、悪い意味ではなく、資本社会と少しずれてるという意味です。

お金儲けをするために林業を選ぶという人は、たぶん少ないはずです。その証拠に、バブルの頃は、林業に従事する人がずいぶんと減ったと聞いたことがあります。

しかし、今後は林業をする人が増えると予想されます。

CO2問題やスギ花粉問題、自然災害が頻発していることからも、これからは林業が必要とされる時代がやってきます。お金儲けができる林業に変わってくるかもしれません。

そんな中で、自分の能力を活かして、林業を発展させるには、他業種同様に、コミュニケーション能力が必要になってくるのではないでしょうか。

また、林業は、人に命を預ける職業でもあります。ちょっとしたミスで、他人に重大な損害を与えてしまうかもしれません。

お互いに信頼関係を持って作業に当たれるように、日ごろから、よい関係を意識することが大切になってきます。

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