林業に転職を考えているんだけど、林業って給料が安いって言われているけど、ホントのところどうなんだろう?
どうも元フォレストワーカーのkitajinです。
本記事では、林業の給料について本当に安いのかを考えてみました。
林業はよく、給料が他業種と比べて安いと言われています。(林業関係者の平均年収をいろいろと調べてみても正確な数字は見つからなかったので、いろいろな意見を纏めるとおおよそ350万円くらいです)
ちなみに日本の平均年収は約430万円であると言われていますが、これは専門職の高給も含まれているので、専門職を抜かした一般労働者の賃金を調べてみると平均は307.7千円だそうです。(出典:令和2年賃金構造基本統計調査)
日本の年収の平均というと、金額の多い方に引っ張られて金額が高くなりますが、見てもらえば分かる通り、一般職で言えば、林業が特別安いわけでないことが分かってもらえると思います。
さらに、林業には給料に反映されない利点もあり、それらを知れば、「林業って案外、いいんじゃねえ?」と言ってもらえるかもしれません。
本記事では、給料に反映されない利点を紹介しています。
ちなみにこれがボクが林業で働いていた時の給与とボーナスの推移です。改めて見てみると……
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
林業の給料がそこまで低いと思わない理由
定時に帰れる
何と言っても林業は仕事のよいところは、朝8時から始まり夕方5時までには仕事が終わるということではないでしょうか。(事業体によって、多少のズレはあります)
労働時間が短いというのはその分、余暇があり、自分のしたいことができるという利点があります。
ただし、山を下りて自宅まで帰るのに時間がかかる場合もあるので、そこはちょっとネックにはなります。
それでも、車の中なので自分のやりたいことができます。例えば、ボクなどは車の運転中は音楽を聴いて歌いまくっていました。そんなストレス発散でなくとも、リスニング学習をしたりもできるので有意義な時間となるはずです。
休日がちゃんとある
林業はキツイ仕事なので、休日をしっかりと定めてある事業体が多いです。
もちろん事業体によって休日の日数は違うのですが、もし疲労が激しければ休んでもいい仕事です。だから、林業の事業体では日給制のところが多いのです。
働かないと給料が貰えないという典型的な職場ですが、有給を使えば、体が大変な時に気にせず休むことができます。
しかし、有給は、事業体によって取りづらいところもあるでしょうが、有給は労働者の権利なので遠慮せずに休みましょう。
健康的になれる
林業の見えない利点の一つとして、健康的になれることが挙げられます。
よく健康的に暮らすためにすべきこととして以下の事が挙げられます。
- 適度な運動
- 太陽の光を浴びる
- 食事
- 睡眠
- 森林効果によりストレスを減らす
林業では、すべてクリアできます。
毎日、おいしい空気を吸って、体を動かせば病気のリスクが減り、健康的な生活が送れます。体を動かしているから、毎日美味しいご飯が食べられて、良い睡眠がとれます。
事実、林業を続けているお年寄りは、皆驚くほど健康です。
幾ら年収が良くても病気ばかりかかっている人と、低所得でも健康で過ごしている人では、生涯の支出が変わってきます。
時給換算すればいい方?
職種によっては、正社員になると長時間労働を強いられるケースもあります。
ボクは以前、飲食店で働いていたことがありますが、その時は一日12時間労働でした。貰っていたのは日給9000円だったので、時給に換算すれば750円です。
一方、林業で働いていた事業体の一日の実務労働時間は約7時間でした。8時に始業、10時に1回目の休憩15分、12時に昼食1時間、15時に2回目の休憩15分、16·30に終業です。
例えば、初任給は8000円だったので、7で割れば、時給は約1142円です。そこにボーナスや各種手当なども加わり、それ以上の金額になるのは確実です。
これを高いと考えるか安いと考えるかは本人次第ですが、悪くないと思うなら転職を考えた方がいいです。
必要な資格をタダで取らせてくれる
林業に就業するために必要な資格は、運転免許証くらいです。
あとは、入ってから林業就業支援緑の雇用で、資格取得をサポートしてくれます。
林業にはさまざまな資格があります。それらの資格を国がお金を出して取らせてくれるのです。中には、林業を辞めた後も他業種で使える資格もあります。
例えば、一番最初に取るものと言えば、玉掛けの資格で、これは建設業界に居れば必ず取らなければならない資格です。また、事業体によっては、大型の免許や工業用重機のオペレーター、ドローンの操縦士の資格など、他の職業に潰しが効くような資格を取得できるのです。
これを聞くと、資格だけ取って辞めればいいと思う人がいるかもしれませんが、それが問題となり、緑の雇用では昔一年目に取っていた資格を三年目に取得することに変わりました。
補助金が出ている
林業には補助制度が充実しています。
国は林業に力を入れ、令和6年からは森林環境税として、国民一人当たり1000円徴収して森の治安やその他に当てるという政策を発表しました。
「森林環境税」は、令和6(2024)年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。
森林環境税及び森林環境譲与税:林野庁 (maff.go.jp)
また、「森林環境譲与税」は、市町村による森林整備の財源として、令和元(2019)年度から、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で按分して譲与されています。
林業は手厚く保護されているので、(これに関しては賛否はありますが)林業に従事している人たちとっては良い労働環境となります。
事業体も新しい人を雇いやすいし、働き手も最初から給料がある程度貰えるようになっているのです。
こんな業界は、他にはあまりありません。
退職金がある
林業には林業退職金共済(略して林退共)という制度があり、事業体が加入していれば毎月1000円給料から天引きされます。
そして、退職時に纏めて貰うわけですが、決して多い金額ではありません。
しかし、全くない業種もあるので、それに比べれば少しでもあった方が嬉しいものです。
ちなみにボクは10年間林業に携わって退職したわけですが、退職金は約120万ほどでした。これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、ボクは貰えるだけありがたいと思っていました。
ボーナスがある
これも事業体によりますが、まともな事業体なら、ボーナスは年2回出してくれるはずです。もちろん、それぞれの方針があるので、ボーナスはないが、その分他に反映させているという場合もあるかもしれません。
しかし、ボーナスもなく、給料も他と変わらないとしたら、それはすぐに退職をして、別の転職先を見つけるべきです。先ほども言いましたが、林業は補助金が国や自治体から出ているのです。その中には、従業員一人あたりを雇うと貰える補助金もあります。
つまり、給料の支払いが悪い会社は、補助金をピンハネしているかもしれません。
慣れてしまえばそこまでキツイ仕事ではない
皆さんが林業に対して抱いているイメージに、キツイが入っているのではないでしょうか。
しかし、人間多少のことなら慣れてしまうもので、慣れてしまえば、少々の事ではキツイとは思わなくなります。
林業の場合、最初の3ヵ月で体が慣れ、3年で仕事に慣れて一通りのことができるようになると言われています。つまり、3年我慢すればキツさは感じなくなるのです。
しかも、前に挙げたように休日もありますし、実労は7時間です。しかも、この7時間も、どういうペースで仕事をするのかは自分次第なので、疲れていたらペースを落としたり休憩していいのです。
林業での最大の職務は、無事に山を下りてくることです。
極端な話、終業時間まで自分のペースで仕事をしていればいいわけです。そう考えると、楽な仕事だと思いませんか?
人間関係が少ない
人間関係ばかりは、確実にこうだ、とは言い切れませんが、林業では煩わしい人間関係が少ないのも事実です。
林業の事業体は少人数の家族経営が多く、多いと言われるところでも、100人従業員がいるところは聞いたことがありません。その上、仕事をするのは大抵、2,3人の班で作業するので、普段から顔を合わせる人数は少ないです。
少ない人数なのでその分、人間関係は濃くなると思うかもしれませんが、あくまでもボクのケースですが、一定の距離を保って仕事ができていました。
また、他業種や他の事業体とも関わることが少ないので、仕事関係の交流もほとんどありません。(もちろん、これも事業体や業務によって異なります)
仕事の人間関係に疲れた人にはオススメです。
多少のミスにも寛容
ボクは、建設業界でも少し働いたことがあるので、比較して思ったことですが、建設の仕事は建設計画書からはじまり、ものすごく細かい取り決めをして、その通りに遂行していかなければなりません。
しかも、下請けや孫請け、その他の業者が数多く介入するので、自分の立場を明確にしなくてはならず、絶対にミスが許されないと感じました。
しかし、林業にはそんな大掛かりな関係もなく、関係する他の事業体といえば森林組合だけで、あとは個人や自治体に頼まれて仕事をするくらいです。
建設業では、ミリ単位の正確さが求められますが、林業では、感覚で決めて、仕事をすることが多いのがその証拠です。
個人の経験による感覚で作業計画を立てて、あとになり、これではダメだとやり直すというロスを犯すこともありました。
だからと言って、適当に仕事をしているわけではありません。一生懸命やってミスをするので、寛容な職種なのです。(ただし、労働災害は別です)
無くならない仕事
去年発表されたチャットgptに代表されるように、近年のAIが仕事を奪うということがよく言われています。
しかし、林業はAIが台頭してもなくならない仕事だと思います。
AIの登場により、林業の作業内容が変わることもあるかもしれませんが、現場での判断や作業には人間の感覚や経験が必要不可欠です。
ですので、安心して働き続けることができます。
〇本気で林業に転職を考えている人はこちらへ👇
林業支援制度『緑の雇用』からなら、自分の希望する地域の事業体と繋がれます。
最後に
林業の年収は、日本人の平均年収を下回るので決して良いとは言えません。
しかも、キツイ、汚い、危険という3Kであることも否めませんので、いいところがないようにも見えます。
しかし、見ようによっては、お金以上の価値が林業にはあると言えます。上記に挙げた例がそれです。
また、給料が安いと言っても、300万円あれば生活は出来ますし、自分に合ったライフスタイルを作りやすいのも魅力の一つです。
どこに重きを置くかは本人次第なので、充分吟味して転職を考えてください。
よくわかりました、よく考えてみます。ありがとうございました。