今更聞けない

【今更聞けない】特殊伐採とは?必要な資格や儲かるのかを解説

kitajin

どうも元フォレストワーカーのkitajinです。

本記事では、特殊伐採についてお話をしていきたいと思います。

特殊伐採は、ここ10年くらいでよく聞かれるようになった言葉で、やる人の人数も増えた気がします。

特殊伐採を大雑把に説明すると、通常のやり方では伐採できない木を、倒すのではなく、解体していくように上から切り落としていく作業です。

本記事では、特殊伐採のやりかたから、特殊伐採に向いている人、特殊伐採は実際に儲かるのか、までを解説しています。

特殊伐採に興味がある人は、是非、最後までご覧ください。

この記事を書いた人

kitajin
  • 静岡県浜松市で10年間林業に従事

(素材生産業者で伐採を主にやっていました)

  • 林業に関する基本的資格はすべて取得

(林業架線作業主任者の国家資格取得者)

  • 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営

(運営歴1年の新人です)

林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。

※本記事には、プロモーションが含まれています。

特殊伐採とは?

特殊伐採とは、周囲に倒すスペースがない場所に生えた木を、倒すのではなく、上部だんだんと切り落としていく作業のことを言います。

作業者は、ツリークライミングなどの技術を使い、木の上に乗ってチェーンソーを使って木の上部の枝から落としていきます。(登れないほど細い枝の場合は、樹幹ごと落としていく)

この時、枝も落とせるスペースがない場合は、ロープと滑車などを使い、枝を吊りながら、安全な場所に下ろしていく作業をします。

また、幹の部分を落とすスペースがまるでない場合などは、クレーン車で伐採した木を吊り上げて移動するということもあります。

国内で近年需要が伸び始め、耳にすることが増えてきた特殊伐採も、海外では長い歴史があり、『アーボリスト』と呼ばれています。

また、技術を競う世界大会もあるほどです。

日本では、通称『空師』と呼ばれ、特殊伐採を生業としている人たちはその技術と仕事に誇りをもって取り組んでいます。

〇特殊伐採が活躍するケース

  • 近くに建造物がある
  • 公園や神社など狭い敷地内
  • 近くに電柱・電線がある
  • 交通網の近くはえている
  • 巨木・偏心木である

特殊伐採は儲かるのか?

お札を数える人
kitajin

早速ですが、特殊伐採は儲かると言われていますが、実際はどうでしょうか?

特殊伐採をするには専門的の技術がいり、一朝一夕にできるものではありません。

木が大きくなればなるほど作業する場所は高所になり、また、危険をともないますので、1本あたりの相場が上がります。

一般的に特殊伐採では、対象となる木1本につき10万円ほどが相場だと言われており、その中から経費を引いた額が利益になります。

また、料金は自分で設定できますが、著しく相場と離れていたりすれば、見積もりの段階ではじかれてしまいます。

料金を設定する場合は、相場と照らし合わせて高くなる場合は、きちんと説明できるようにしておくとお客様から信頼を得られやすいでしょう。

※以下はあくまでも目安です。事業体によって考え方は変わるので、ご注意ください。

特殊伐採の報酬は何で決まる?

基本料金

基本料金は、人工代として、いくらほしいかを決めます。

内訳としては、基本労働報酬のほかに保険料、交通費などが含まれます。

相場としては、5万円~10万円と言われています。

作業量

作業量の報酬の計算は、業者によって大きく変わります。

・3m以下   ・・・5,000円前後
・3mから5m ・・・1万5千円前後
・5m以上   ・・・2万5千円前後

相場を確認して、おおよその代金を決めます。

技術料

作業の難易度によって、報酬は変動します。

周りに倒す場所があるない、まるでない場合や電線に枝が絡んでいるなど、状況によって変化していきます。それらを見極めて料金を決めていきます。

当然、作業が困難な場合は報酬は高く設定します。

経費

経費は以下の通りです。

  • 機械使用料
  • 燃料費
  • 重機使用料
  • 片づけ代金
  • ガードマン

基本はチェーンソーや刈り払い機の機械使用料と燃料費です。

重機を使用する場合は、クレーンで作業木を吊ったり、グラップルで片付け作業作業をします。

また、道路沿いで作業をおこなう場合は、ガードマンを雇い、交通整理が必要となります。

その他、細かくした樹木の片付けを依頼されたら、運搬費用もかかります。

kitajin

一口メモ

特殊伐採は、労災では林業ではなく、作業分類として造園業に含まれるようです。

もし、独立して特殊伐採を仕事にする場合は、造園業の一人親方の労災に加入した方が良いでしょう。

特殊伐採に向いている人

木に登る作業員

高いところが平気

特殊伐採は、高所作業がほとんどです。

ボクは極端な高所恐怖症ではありませんが、それでも20m、30mと登っていくと恐怖心が芽生えて、その場所にいるだけで大変な疲労感を覚えます。

特殊伐採の作業は木の上に登ったら、作業を終えるか、お昼の休憩まで下りられません。ただでさえ精神的にも肉体的にも相当の労力を使うので、高いところが平気ではないと務まりません。

慎重な性格

特殊伐採の作業は、周囲に壊してはいけないどころか、傷つけてもいけない建造物があることがほとんどです。

そんな中で、少しのミスも許されない状況です。

しかも、建造物だけではなく、自分の安全も考えなくてはならず、慎重さが求められます。

作業を急いだり、いい加減な人では決して務まらない仕事です。

足腰が強い

前述の通り、特殊伐採の作業をしてる時は、木の上から降りる時は作業が終わった時か、もしくは休憩の時です。

その間、ずっと木の上に居なくてはなりません。

作業場所は、高いだけでなく、細い枝の足場だったり、ハーネスと腰ロープで幹に斜めに支えられている場合もあり、足腰に負担をかけた状態です。

そういう状態で何時間もいるには、足腰が強くないと持ちません。

また、たとえ今はよくても、長く仕事としてやっていくには足腰の強さは必要です。

想像力が働く

特殊伐採は、下見をした時点で、木を見てどういう作業をしていくのか計画を立てていきます。

木の上に登って、「さあ、どうしようか?」では、作業が進んでいかずに危険やミスが増えます。

まずは、何処から手を付ければいいのかを最初に決めてとり組んでいけば、ミスなく疲れずに作業を進めていけます。

安全にスムーズに作業をするためには、経験と想像力が必要です。

特殊伐採に必要な資格・特別教育

資格試験
kitajin

特殊伐採をおこなうためには、作業のための様々な講習を受ける必要があります。

特殊伐採は危険をともなう作業であり、死亡事故も発生しています。そのため、正しい知識や技術を習得しておく必要があるのです。

特殊伐採をおこなうために、必要な資格・教育を紹介していきます。

チェーンソーによる伐木等特別教育

まずは、チェーンソーで木を伐る基本として、『チェーンソーによる伐木等特別教育』です。

学科9時間、実技9時間を3日間に分けて講習を受けます。

学科

  • チェーンソー作業の安全衛生法、安全衛生規則などの法令 1時間
  • 振動障害及びその予防に関する知識 2時間
  • 伐木作業に関する安全作業の知識 4時間
  • チェーンソーの整備、知識 2時間

実技

  • チェーンソーの整備・点検・操作方法などの実技 4時間
  • 伐採方法の実技 5時間 

刈り払い機(安全衛生教育)

刈り払い機(草刈機)を使用するには、実務を抜かした5時間の安全衛生教育を受けなければいけません。

(本来なら実務を1時間の計6時間なのですが、実務は事業者の指導でよくなっています。)

学科

  • 刈払機に関する知識 1時間
  • 刈払機を使用する作業に関する知識 1時間
  • 刈払機の点検及び整備に関する知識 30分
  • 振動障害及びその予防に関する知識 2時間
  • 関係法令 30分

作業前に、作業にかかる木の周りや動線に生えている下草や灌木を作業がしやすいように刈ります。

高所ロープワーク特別教育

平成28年1月から施行された改正労働安全衛生規則によって「ロープ高所作業の業務」に関する教育を受けることが義務づけられました。

高所で作業を行う場合には、墜落による労働者の危険を防止するため高さ2m以上の場所では作業床の設置が義務付けられています(労働安全衛生規則518条第1項)。

しかし、作業床の設置が困難な場所などでは、ロープで労働者の身体を保持し法面作業、ビルの外装清掃などを行う、いわゆる「ロープ高所作業」を用いざるを得ない場合もあります。

近年、このロープ高所作業では、結び目がほどけるなどによる墜落死亡災害が多発していることから、ロープ高所作業による労働災害を防止するため、事業者は、ロープ高所作業に就かせる労働者に対し、特別教育の実施が義務付けられています。

(平成28年7月1日施行 労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第40号/安全衛生特別教育規程第23条)

講習内容は、ロープを高い場所で正しく使えるように知識を習得するものです。また、メインロープの使い方についても学びます。

実技は、ロープ高所作業の方法やメインロープの点検作業などです。

学科4時間、実技3時間です。

学科

  • 関係法令 1時間
  • 労働災害の防止に関する知識 1時間
  • メインロープ等に関する知識 1時間
  • ロープ高所作業に関する知識 1時間

実技

  • ロープ高所作業の方法、墜落による労働災害の防止のための措置並びに墜落制止用器具及び保護帽の取扱い 2時間
  • メインロープ等の点検 1時間

フルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)特別教育

高所作業における墜落事故を防止するために、厚生労働省は「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」を公表しました。

特に危険性の高い業務を行う労働者は、「フルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)特別教育」を受けなければなりません。

受講対象者は、「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務を行う者」です。

(労働安全衛生規則第36条-41より)

特別教育の内容

資格を取得するためには、下記のカリキュラムの修了が必要です。

学科

  • 作業に関する知識  1時間
  • 墜落制止用器具(フルハーネス型のものに限る。以下同じ。)に関する知識  2時間
  • 労働災害の防止に関する知識  1時間
  • 関係法令  0.5時間

実技

  • 墜落制止用器具の使用方法等  1.5時間

参照「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」厚生労働省

kitajin

その他にも、枝を落とす作業には高所作業車、木を吊り上げる移動式クレーン、木を片付けるのに楽なグラップルなどの重機の資格もあれば、仕事の幅が広がります。

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特殊伐採のやり方

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最後に

kitajin

特殊伐採は、己の技量一つでできる魅力的な仕事です。

また、昨今の天候不順による倒木や樹木の成長度合いなどによる支障木の増加などからも、今後も特殊伐採を必要となる現場は数多くなると予想できます。

今の日本は、周辺いたるところに、著しく成長した木々が生えており、荒れ放題になっています。神社や公園を見てもらったらわかると思います。

また、特殊伐採は一人でも始められて、経験年数もそれほどでなくても始められるところも、やる人が増えている要因ではないでしょうか。

ボクの知り合いでも、林業経験2、3年で特殊伐採で独立した人がいました。

特殊伐採の需要がいかにあるかがわかります。

また、特殊伐採の良いところは単価が高いところで、一件需要があれば、1か月暮らしていけるくらい稼げることもあるところではないでしょうか。

また、独立がしやすく、複業などもできるので、これからも特殊伐採をやる人が増えてきて、価格競争が起こるかもしれません。

そんな中で生き残るには、確実に、スピーディーに安全作業ができる人ではないでしょうか。また、きちんとコミュニケーションが取れて、値段や作業の説明ができることも重要です。

もし興味がある人は、早いうちから独立できる準備を整えておくといいかもしれません。

特殊伐採の講習は、全国でやっているので調べてみればすぐに見つかるので、参加してみてはいいかもしれません。

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