どうも、元フォレストワーカーのkitajinです。
本記事では、私の故郷である浜松の林業の素材生産地を3つに分割して、わかりやすく紹介しています。
浜松は温暖な気候と、穏やかな地域性が特徴です。
また、材木の素材の生産地としても有名な「日本三大杉美林」と呼ばれている「天竜杉」が有名です。林業をやる環境も整っており、個人的にオススメです。
そこで、他県の人に向けて、浜松林業を知ってもらうために、3つの地域に分けて、素材生産地の特色について紹介します。
地域ごとの特長や、そこで活躍する事業体も紹介していますので、浜松に移住して、林業に携わりたい方にとって、参考になれば幸いです。
前提として、浜松市は政令指定都市に昇格するために、2005年に周辺市町が合併して、中区、東西南北区、浜北区、天竜区ができ、現在の広さになります。さらに2024年に七区を再編成して、現在は中央区、浜名区、天竜区という3区が誕生しました。
浜松林業の概要
浜松市の概要
浜松市は、静岡県の西部に位置し、県内随一の人口を誇る政令指定都市です。
都会と豊かな自然が混然一体となっており、その中でも、自然に関していえば、西には浜名湖があり、東から北にかけて、天竜川流域を中心とした地域は、古くから林業が盛んに行われてきました。
天竜川は、静岡県中部を流れる日本三大急流の一つです。その上流域には、良質な杉の産地として知られる天竜杉が生育しています。天竜杉は、木目が美しく、耐久性に優れていることから、高級建築材や家具材として重宝されています。
その昔、天竜川は「暴れ天竜」と呼ばれ、大雨が降ると氾濫が頻発し、人々に多くの苦難をもたらしていました。
江戸時代後期、この状況を鑑みて、上流の治山が急務であると判断した金原明善翁が、資産をなげうって、天竜川流域に植林や整備を行ったことから、近代林業が天竜川近辺に根付きました。
現代においても、日本三大杉美林の一つである「天竜美林」がブランドとしてあり、この美林は、天竜川流域上流部に位置しています。浜松市は、天竜杉を活かした林業を推進しています。
北遠地区
場所
「北遠地区」は、天竜区の山間部のことを言います。
平成の大合併で、水窪町、龍山町、春野町、佐久間町が浜松市に含まれ、天竜区として現在もあります。
古くから、険しい山の中で、独自の文化を形成してきた地域です。
県道152号線、362号線が通っており、天竜川の中流にあたり、愛知県、長野県との県境があります。
急峻な地形の山が多く、林道から離れた現場も多いと聞くので、林業をやるには、とても困難なイメージがあります。
地形
北遠地区は、青崩峠に代表されるように、地盤が脆いところが多いことが有名です。
北部は赤石山脈に囲まれ、急峻で起伏に富んだ山々が広がります。森林資源が豊富で、林業が主力産業です。
天竜川が中央部を縦断し、大千瀬川や水窪川など多くの支流を集めて南下しています。
深い山々に囲まれた地形は、古くから人々の暮らしを守り、豊かな自然を育んできました。天竜川や気田川などの清流は、生命の源であり、美しい景観を生み出しています。
また、北遠には、遠州三山の一つである秋葉山や、江戸時代から続く茶の湯文化など、歴史と文化が息づいています。
風土に根差した伝統工芸も盛んで、春野の凧揚げや水窪の和紙作りなど、見どころ満載です。
林業の特徴
静岡県北遠地区は、天竜川流域を中心に、古くから林業が盛んな地域です。
深い山々に育まれた良質な木材は、江戸時代から様々な形で人々の暮らしを支えてきました。
中でも特筆すべきは、天竜川を利用した木材運搬です。山で伐採された木材は、筏に組まれて天竜川を下流へと運ばれました。これは「川狩り」と呼ばれ、江戸時代から昭和初期にかけて盛んに行われていました。
急流を巧みに操りながら木材を運搬する筏師の姿は、まさに北遠地区林業の象徴と言えるでしょう。
現在では、トラックなどの陸運が主流となり、川狩りの姿を見ることはほとんどなくなりました。しかし、天竜川は依然として重要な役割を果たしており、木材の運搬だけでなく、森林の保水や治水にも貢献しています。
主な事業体
- 水窪森林組合
- 龍山森林組合
- 春野森林組合
旧天竜市
場所
旧天竜市内は、国道152号、362号線が横断しており、県道9号線を北上していき、阿多古地区、熊の里辺りまでを言います。
国道152号は、市街地と周辺地域を結ぶ要所として機能し、旧天竜市内を貫きます。同様に、国道362号も市街地を通り、地域間のアクセスを確保しています。
さらに、静岡県道9号天竜東栄線は、東部の山間エリアと市街地を結ぶ重要な道路です。この道路は、天竜区内の自然豊かな地域と市街地を結び、地域住民や観光客の移動に利用されています。
地形
里山が多く、林道が整備されており、現場までは比較的、容易にいけます。標高場所によって、急な地形があります。
また、山を切り開いて、民家を作ってあるので、山間部と市街地が混然一体となった場所が多く存在します。
木材を運ぶ、市道が整備されており、比較的、運搬が楽な地域でもあります。
林業の特徴
天竜区は、その豊かな自然環境が林業に適している地域として知られています。林業は、天竜区の重要な産業の一つであり、地域経済の発展に大きく貢献しています。
この地域では、広大な森林が広がり、さまざまな木々が生育しています。特にヒノキやスギなどの材木が豊富に生息し、高品質な木材の生産地として知られています。天竜区の林業は、これらの木材を有効活用し、建築資材や家具などの製品を生産しています。
前述した「天竜杉」は、全国的に有名であり、ブランドとしての地位も確立しています。
また、天竜区の林業は環境保護にも配慮しています。持続可能な森林管理が行われ、木材の伐採と再生をバランスよく行うことで、森林資源の保護と利用を両立させています。さらに、地域住民との協力や地域振興活動も積極的に行われており、地域社会の発展に貢献しています。
天竜区の林業は、地域の自然資源を活かしながら、持続可能な発展を目指しています。豊かな森林とその恵みを大切にし、地域の魅力をより広く発信していくことが、天竜区の林業の今後の展望です。
主な事業体
- 天竜森林組合
- フジイチ
- 明善フォレスタ
- 天竜フォレスター
引佐・三ヶ日地区
場所
現在の浜松市浜名区は、旧浜北区と旧北区の引佐、細江、三ヶ日などが集まった地区のことを指します。
浜名区は、人口約17万人の活気ある地域です。東名高速道路、三ケ日インターおよび、新東名の引佐、浜北インターなどがあります。
また、山の上から浜名湖が一望できるのも特徴です。
浜名区の北部には、標高300~400mの山々が連なります。この地域には、ブナやカエデなどの広葉樹が多く生えています。また、山間部には、いくつかの神社仏閣があります。
浜名湖沿岸部は、平坦な地形が広がっています。この地域には、水田や畑が多く、農業が盛んです。また、浜名湖畔には、多くの観光スポットがあります。
浜名区は、美しい自然環境と歴史的な背景を持つエリアであり、住民にとって魅力的な場所です。
地形
浜名区の山は、低い山が多く、天竜区の市街地と同様に、交通の便もよく、森林までのアクセスが容易な山が多いです。
それでも場所によっては、険しい箇所があり、油断はできません。
また、三ケ日はミカンが有名であり、美味しいミカンが収穫されています。この地域での林業とミカン栽培が共存し、地元ならではの賑やかな風景が広がっています。この地域は愛知県の東部に面しており、この立地が地域の特徴の一つです。
浜名区には、以下の主な山があります。
- 大明神山(標高439m)
- 尉ヶ峰(標高433m)
- 仁王山(標高382m)
- 笠張山(標高377m)
これらの山々は、登山やハイキングを楽しむことができます。また山頂からは、浜名湖や遠州灘の美しい景色を眺めることができます。
林業の特徴
引佐・三ケ日の地域は、林業にとって理想的な条件を備えています。
現場までのアクセスがしやすく、搬出、運搬までがスムーズに行える条件がそろっているからです。
林道もほぼ舗装で整備されており、現場まで自動車で向かい、そのまま仕事まで直結できる場所が多いです。
しかし、木材に目を向けると、天竜材に比べれば多少見劣りする材が多く、並材が多く取れる地域として知られています。しかも、範囲が天竜区に比べるとやや狭いため、林業の可能性は一部で言われるほどには広がりづらいとされています。
主な事業体
- 引佐森林組合
- 氏原林業
- 森下材木店
まとめ
浜松は美しい自然と伝統的な林業が調和した市です。
特に、日本三大杉の一つである天竜杉美林が育つ天竜区は、その景観の美しさと優れた木材の生産地として有名です。
林業の世界では、地域の特産材を活かした製材や木工加工が行われているので、天竜木材は、今後ますます、注目度が増すでしょう。
また、林業を通じて、森林の管理や植樹活動にも携わり、地域社会への貢献ができ、地元の人々と協力し、美しい自然を守り、地域の発展に寄与することができます。
浜松の林業は、地域資源を大切にし、持続可能な未来を築くための取り組みも盛んに行っています。
自然に囲まれ、地域の魅力を感じながら林業に携わることで、充実した新しい生活を送りたくないですか?
浜松の林業に興味のある方は、ぜひ、ご連絡ください。