どうも、元フォレストワーカーのkitajinと申します。
本記事では、林業に欠かせない作業道についての紹介をしています 。
作業道を開設することにより、作業効率が上がり、安全面でも効果が期待できます。しかし、その反面、デメリットもあるので、きちんと理解して始めることが重要です。
本記事では、作業道を開設するメリットとデメリット、また、林業作業道の作る過程から、注意点についてわかりやすく紹介しています。
作業道を作ったことのない人、これからチャレンジしたいと思っている人の参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
林業作業道とは?
作業道について、まずは簡単な説明をします。
作業道とは、施行地に、重機の走行を行うために開設する簡易道のことをいいます。
バケットなどの掘削機を使い、斜面を掘り、法面を埋めていき、平らにしていくのが基本的な作業道づくりとなります。
作業道を入れるメリット・デメリット
メリット
- 材積が上がる
- 安全に作業ができる
- 作業員の疲労感が少なくなる
- 山の管理がしやすくなる
デメリット
- 山が荒れやすいと言われている
- 木を痛めやすい
- 経費が掛かる
搬出量が上がる
作業道を入れることで、伐採する木に、重機が近づけて、作業がやりやすくなります。
また、搬出にもフォワダーなどを使い、材を運び出せるので搬出量が格段に多くなります。
安全に作業ができる
重機の近くで作業をするために、安全に作業ができます。
ウィンチ付き重機やグラップルなどを使えば、伐採や集材に補助的な活躍ができ、人の手間が少なくて済むのです。
また、道が近いことで、作業道内に伐採木を置いて作業できますので、平らな場所で作業をするので、より安全な作業ができます。
作業員の疲労感が少なくなる
安全と同様に、重機と作業することで、作業員の疲労感も少なくなります。
また作業場までの移動も、作業道があるので、通常の山道を歩くより疲労感は軽減されるはずです。
その他にも、重機などに荷物を積んだり、重機で移動することもできるので、疲労は軽減されます。
山の管理がしやすくなる
作業路の主な目的の一つとして、作業が終わった後も山の管理のために使用することです。
草刈りや地拵え、苗植えなども、作業道があると無しとでは、格段に作業効率が変わってきます。
また、何十年後の間伐時に、作業道を手直しして使用すれば、最初から道を作るより早く、作業を始めることができます。
山が荒れやすいと言われている
デメリットとしては、元々道のない所に、強引に道を入れることで山の地形が変わり、水の流れが変わったり、立木が風で倒れさえることがあります。
また、道の生え際にある立木は、枯れやすくなることでも知られています。
天候や災害の影響を受けやすくなるというデメリットがあります。
木を痛めやすい
重機を使って、伐採、搬出することで、周りに生えている立木に重機が触れたり、また出材時に、木を傷つけたりすることもあります。
何十メートルもある、木を移動させるので、気をつけていても、木を傷つけることがあります。
経費が掛かる
作業道では、重機を使用した作業となるので、自社で林業機械を持っていなければ、レンタルや購入費、修理代、燃料代などの経費が発生します。
林業機械を導入すると、毎月、一定の利益を生み出さないと、採算が取れないこともあるのです。
作業道を入れる実践
それでは次に、作業道を作る工程を順を追って解説していきます。(あくまでも参考なので、他にもやり方はあります。)
スタートとゴールを設定する
作業道のスタート地点とは、林道へ通じるトラック道です。
山から出した材を、トラックを使い運搬するので、当然、一番トラックが運べる土場を最初に設定しなくてはなりません。
そして、ゴールは、施業範囲を網羅するところまでです。
スタートとゴールをつなぐ線をいかに無理なく、設定できるかが重要になってきます。
山を見る
まずは最初は自分で足で歩いて、山の地形を入念に調べます。
最初に、国土院の等高線図である程度、目星をつけて、どこに道を入れるかを予測します。しかし、それでは山の真の姿は見えてきません。
どんな地質か、岩や沢、傾斜角などは、山を実際に歩いてみることによって手に入ります。
作業路の大まかな設計
施行地で、どうすれば効率よく、伐採が完了するかを地形と合わせて考えて、作業道を作っていきます。
大まかな経路を作成します。進んでいくかを、等高線地図によって示していきます。その設計図によって、立木を伐り進んできます。
重機で作業路を入れていく
支障木を伐りながら、作業道をつけていきます。
支障木を先に伐っておくという方法もありますが、先に伐ってしまうと、修正しなければならないときに難しくなるのです。
しかし、支障木を最初に伐っておいた方が、オペレーターは道づくりに専念できるという利点もあります。
どちらがいいとは、言えません。
注意点
作業路を作る上で、いくつかの注意点があります。順を追って解説していきます。
水切り
大切なのは、どうやって山に流れる水を切っていくかです。
降った雨だけではなく、元々、流れている沢などもあります。
水の流れを自分で決めるということは、作業路を健全に残していく上で、重要となってきます。
雨が降れば、作業路は崩れますし、また、水はけが悪いと、重機の走行で道が傷んでくるからです。
水をどのように流すかによって、作業路がどれだけ耐久するかを決定づけるのです。
傾斜角
山の地形を、地形により作業の付け方は変わってきます。
いくら地質が良くても、強引な傾斜での上り下りは、それだけ作業路と重機にも負担が大きくなります。
作業が遅れたり、重機に無理をさせることで、故障の原因にもつながるのです。
地質
表面だけでなく、掘り返した土が、どういった物かによっても、大きな違いが現れます。
赤土や黒土はいくら積み上げても固まりません。
また、大きな岩があった場合は、回避しなくてはいけません。
そういった可能性を色々と考察しながら進んでいかなくてはいけないので、柔軟さが求められるのです。
補強
思い通りの傾斜、思い通りの地質に巡り会うとはかぎりません。
思いどおりにいかない場合は、補強をしていくことによって、道がその後に生きるかどうかにが決定づけます。
土がしまらないところは、丸太を入れたり山の中にあるもの、(がらや枝)を使って補強していきます。
怠ると、作業道が長続きしません。
柔軟性
以上のことを踏まえて、作業の作る上で重要なのは、柔軟性です。
最初から思った通りに行くことはあまりなので、いかに柔軟性を持って幅を広く道を作るかということは大切になってきます。
作業道を上手く入れるコツ
道を めちゃを作るぐらいや いかんのことができるようになってきます。
他にも入れるようなことはありますが 以下のことを参考に作業道を作ることを検討してください。
水流れを意識する
作業路=水切りとは何度も言いましたが、水の流れを意識することは重要です。
斜面に水が流れることも重要ですが、それ以外にもカーブや水が溜まりそうな場所、水が出てるところをどうやって 切っていくかが重要になってきます。
後々、作業路が残っていくからにかかってきます。
土の移動
作業道を作るとは、ズバリ、土の移動です。
山の中にある土が限られています。
それをいかに配分して、作業道を作るかが重要になってきます。
土の少ないところには、多い所から持ってきたり、地面を削っていく作業が必要となります。
また土の移動とは、作業道が完成したあとも重要となります。
重機が走行するたびに、キャタが土をかき、土を移動させるからです。
なので、いかに摩擦係数を減らすことが重要になってきます。
無理な傾斜やカーブを多く作ることで、自然と土が削られていくからです。
作業のしやすさを意識する
作業のしやすさを意識することも重要です。
特に傾斜がきついと、作業は大変になってきます。
重機はバランスを保たなくてはいけませんし、安全面においても傾斜がきついことは、マイナスになります。
真っ直ぐな道
重機の移動による、土の移動をなるべく減らすためには、まっすぐな道を作ることです。
土の移動を減らすことは、キャタピラーを傷つけないだけでなく、雨による水の流れを決めるのに、重要な役割を果たします。
限界がある
どんなに屈強な作業道を作っても、雨や風により崩れることはあります。
それほど、自然の力というのは大きなものがあります。
ですので、壊れても修復可能な場所に道を設計することも、重要になってきます。
地形により、困難な場面もあるでしょうが、なるべく、傾斜の緩やかな道を作ることが重要になってきます。
作業路を作った後の注意点
轍
重機が通過した後にできる轍、土の移動をそのままにしておくと雨が降ったりすると、道が壊れる原因となります。
特にカーブなどは、キャタピラが土を削り、土が外側に流れて削れるので、頻繁に直していかないと、どこまでも削れていったり、岩肌がむき出しになる事があります。
水路の点検
轍、同様に、重機が通った後や雨により、水路がふさがれることが良くあります。
毎日とは言いませんが、雨が降る前などはしっかりと点検して、水の通り道を確保することで、道を健全に保つことができます。
重機の置き場所
作業終わりに、重機をどこへ置いておくかも重要になってきます。
特に、雨が降った時など、重機の置き場所を間違えると、その後の作業が困難になったり、台風の時などは、重機自体が取り残されたり、下手をしたら、作り立ての作業道もろとも崩れ落ちたりする可能性もあります。
ですので、作業終了時に、重機をどこへ置いておくかは常に気にしなくてはいけません。
まとめ
林業作業道は、今の林業では、必要不可欠なものです。しかし、作業道作りはとても奥が深いものがあります。
僕の作業道づくりの師匠が言ってました。
「道づくりは、チェーンソーの10倍、奥が深い」
ただ、バケットを使い、伐根して、土を移動するだけでも、道はできます。しかし、それだけではないのです。
安全に作業する上では、重要になってくるので、地形を変えるという観点からも非常に重要になってきます。
また、自分が作った作業道で、他の作業員が安全に作業できるかを考えると責任感が芽生えてきます。
作業道を作ったことのない人は、自分の仕事の幅を広げるためにも、一度はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?