林業一年目

【林業と生物】山の中で出会った生き物とのエピソードを紹介します

kitajin

どうも元フォレストワーカーkitajinです。

本記事では、山で出会う生き物についてのお話をしていきたいと思います。

山には数多くの生き物は生息しており、人もまた、いち生物でしかないことを思い知らされます。

林業に携わった10年間で、見聞きした身近な山の中の生き物についての話をして、林業一年目の人たちにこれから出会う生き物たちの予備知識を少しでも提供します。

本記事を読むことで、山の中についてほんの少しだけ、知識が深まるかもしれません。

この記事を書いた人

kitajin
  • 静岡県浜松市で10年間林業に従事

(素材生産業者で伐採を主にやっていました)

  • 林業に関する基本的資格はすべて取得

(林業架線作業主任者の国家資格取得者)

  • 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営

(運営歴1年の新人です)

林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。

※本記事には、プロモーションが含まれています。

山の動物

イノシシは、臆病な性格のため、普段はあまり見かけることはありません。

夜に行動するのも人間に出会いたくないためであるので、ばったり出会ってしまうとパニックになり人間を襲ってくるという話です。

毎年、イノシシに被害にあうのは、退路を断たれたと思ったイノシシが強行突破するためです。

牙の外側が、ギザギザののこぎり状になっているので、ちょうど人間の太もも辺りに牙が触れると、大動脈が切りつけられて出血多量します。

ボクは、大人のイノシシに出会ったことはありませんが、うり坊に一度だけ会ったことがあります。

仕事終わり、山道を走っていると、突然、現れた一匹のうり坊が車の前を走りだしました。轢こうと思えば轢けるスピードでしたが、ゆっくりと追走していると、段々と道の端に寄って行って道を外れて消えていきました。

大人のイノシシは見たことはありませんが、その痕跡は至るところにあります。

よく知られているのは土を掘り返した跡ですが、それ以外にもにイノシシの痕跡はあります。山の中に水たまりのような沼地のようなところがあると、周囲に泥が飛び散った状態になっていることがあります。

それは、イノシシの水浴び(泥浴び)と言われているもので、水たまりで泥を体に擦りつけて、ノミやダニなどの寄生虫を体から排除していると言われています。

この水たまりをヌタ場と言うそうです。

沼田場(ヌタ場、ぬた場、ぬたば、英語: wallow、ドイツ語: Suhle)とは、イノシシやシカなどの動物が、体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びるぬたうち(英語版)(ぬた打ち、英: Wallowing)を行う場所のこと。

沼田場 - Wikipedia

泥浴びを終えると、タオルではなく、周辺の木々に泥をなすりつけて帰っていくのです。

シカ

シカはその姿より、鳴き声をよく聞きます。

朝晩に、甲高い悲鳴のような鳴き声を発しています。

臆病なので姿はたまにしか見かけず、人間を見ると逃げ出します。特に子供とメスのシカは非常に臆病ですぐ逃げていきます。

しかし、角の生えたオジカは堂々としており、一度だけ大きなオジカに出会ったことがあります。

立派な角をしていて、角を合わせると2mはあったと思います。襲っては来なかったですが、「何だ貴様?」といった顔をされました。

また、シカの角がたまに落ちていることがあります。

2度ほど拾ったことがありますが、鹿の角は1年毎に生え変わり、3〜4月頃にポロリと根本から取れるそうです。

シカは植林したばかりの杉や檜の皮や新芽を食べるので、害獣として駆除の対象になっていますが、駆除が追いつかないほど繁殖しており、年々その数を増やしていると言われています。

シカによる被害は、森林被害全体の約7割を占め、深刻な状況となっています。シカによる森林被害は、これまでは造林地における植栽木の食害が主でしたが、近年では成林したヒノキ等の樹皮の食害も目立つようになってきています。このような被害の発生は、林業生産コストの増大や森林所有者の経営意欲の低下を招きかねません。また、シカの生息密度が著しく高い地域の森林においては、食害によってシカの口の届く高さの枝葉や下層植生がほとんど消失している場合もあり、このような場所においては、土壌の流出等による森林の有する公益的機能の発揮に影響を与える恐れもあります。

野生鳥獣による森林被害:林野庁 (maff.go.jp)

カモシカ

カモシカは、シカと名前がついていますが、シカではなくウシ科カモシカ属です。

性格はのんびりしており、人間を見ても驚かないし、逃げません。

単体で行動していることが多く、近くで作業していても全く意に返さないといった感じです。

しかし、仲間となるそうはいかないようで、山の斜面を非常に素早い動きで追いかけっこをしていたのは見たことあります。

人間に向かってくることは滅多にはありませんが、植林の被害はあるようです。

カモシカ

主な被害は、幼齢木の枝葉の摂食ですが、一部地域ではほかに壮齢木への角こすりも発生しています。食害された幼齢木は、枯死したり、成長を著しく阻害されます。

野生鳥獣による森林被害:林野庁 (maff.go.jp)

クマ

浜松市でも、クマの目撃情報が数年に1度ぐらいあります。本州だから、ヒグマ(ツキノワグマ)ですが、見たことはないです。

しかし、クマが引っ掻いた爪痕が木に刻まれているのを発見したことはあります。

余談ですが、このひっかき傷が、立木を痛めることになる林業泣かせでもあります。

クマ

主な被害は、壮齢木の樹皮を歯や爪で剥ぐ「クマ剥ぎ」です。人工林の場合、伐採間近の大径木の被害割合が多いため、経済的な損失が大きい傾向があります。

野生鳥獣による森林被害:林野庁 (maff.go.jp)

これは、先輩作業員に聞いた話ですか、子グマの死骸を見つけたことがあるといいます。

その人が所有する田んぼの畦道に子供のクマが死んでおり、死んだばかりのようで、体中から一斉にダニが逃げていくのを見たそうです。

クマは、出会う確率が極めて低いので、出くわしたときに慌てそうです。

しかし、驚いて逃げ出すのはやめといた方がいいかもしれません。

野生の動物は驚かせると襲い掛かっているようなので、ゆっくりと焦らずに距離を取ると良いでしょう。

しかし、チェーンソーを持っている時は、クマに出くわしても怖くはないなと思っていました。

鬼に金棒ではなく、フォレストワーカーにチェーンソーですね。

サル

サルは、山の中というより里山と人間に近い領域のところを行ったり来たりしていることがあります。

その方が餌がたくさんあるからです。

集団で生活しており、一ヶ所に定住せずに、いろいろなところをグルグルと餌を求めて回っているようです。

昔働いていた職場が、彼らが縄張りの一つで、毎年同じ時期にやってきては、庭に植えてあるみかんとかを奪い取っていきました。

何回か見たことありますが、まず最初に、先行隊のようなやつが1匹見に来て、その後、本隊がやってくるという、まるで軍隊のような役割分担がありました。

最近は、あんまり猿を見かけることはありませんが、ひょっとしたら数が減ってるのかもしれません。

サル

主な被害は、シイタケの被害(食害、ほだ木の剥皮及び散乱)となっていますが、一部地域ではほかにカラマツ、アカマツ、ヒノキの剥皮害(食害)も発生しています。

野生鳥獣による森林被害:林野庁 (maff.go.jp)

ウサギ

ウサギは、臆病な生き物なので滅多に見かけませんが、 不意に目の前に現れて、人間の存在に気づくと急いで逃げていくといった感じです。

つまり、彼らの警戒心はそれほど広範囲ではなく、近づいてから始めて気づくのではないかと思います。

耳がいいように言われていますが、人間の存在に気づいていないのか疑いたくなります。耳より、視覚で察知しているとしか見えませんでした。

もしかしたら、年寄りウサギかもしれません。

ウサギもまた、植林の苗を食べる害獣であります。

ウサギ

主な被害は、幼齢木の枝葉及び植栽木の樹皮の摂食です。特に幼齢木への食害については主軸の切断を伴うため、成長を著しく阻害されます。

野生鳥獣による森林被害:林野庁 (maff.go.jp)

野ねずみ

野ネズミもたまに見かけることがあります。

根株を利用して地面に巣を作っており、チョロチョロと周囲を走り回っていました。あまり人間を恐れている様子はなく、人前に姿を現します。

ペットにしてもいいぐらい可愛いです。

野ネズミもまた、植林を食害する害獣とされています。

野ネズミ

主な被害は、植栽木の樹皮及び地下の根等の摂食です。食害により、幼齢木・壮齢木問わず枯死に至ることがあり、特に北海道におけるエゾヤチネズミは数年おきに大発生し、大きな被害を引き起こしています。

山の小型生物

ミミズ

山の中のミミズは、平地にいるミミズより、大きくて長く太っています。

一瞬蛇かと勘違いするくらい、体調が30cmぐらいあるやつもいます。

調べると、それは山ミミズ(シーボルトミミズ)と言われ、西日本に生息しているということですが、浜松で見たのは、似ているだけなのか、それとも浜松にも生息しているのか分かりません。

山ミミズは、触ろうとすると白い液体を出すというので、毒はなさそうですが、触れた時は手を洗った方がよさそうです。

また、雨の中を移動手段として、ピンとまっすぐ棒状になって斜面を滑り落ちていくのを見たことがあります。

ヤマヒル

ヤマビルは、体長体長は25~35mmで細長くて小さい生き物で、伸縮自在の気持ちの悪い生き物です。

地面の上や木の葉についており、(木の上でなく、湿った地面に獲物が来るのを待ち構えているようです)体を触手のように伸ばして、通った者の体にくっつこうとしています。

そして、一度くっつくと知らない間に衣服の中に入り、皮膚を破り血を吸います。

皮膚についた後に、血液を固まらせない液体を出すので、それが痒みの原因になるのです。また、血を固まらせないので、しばらくの間、血が流れっぱなしになると言います。

ヒルは、多湿なところを好み、地方にいっているところといないところが有るようです。

ボクが働いていたところでは、ヒルは見たことがなく、被害にあったこともありませんが、少し山奥に入った地域ではよくヤマビルの被害に合っているという話を聞いたので、同じ地域でも、場所によって居るところと居ないところがあるようです。

カエル

山の中のカエルはでかいです。

特に感動するのは大きなアマガエル、モリアオガエルです。普通のアマカエルと比べて2倍以上の大きさがあります。

二ホンアマガエル20㎜~45㎜、モリアオガエル40㎜~80㎜だそうです。

可愛らしい顔をして、灌木の枝などに止まっていて動きません。なんと、天然記念物に指定されているそうです。

その他にも、山にはいろいろなカエルがいますが、よく見かけるのがウシガエルです。春先になると岩の間やのり面の中から、ウシガエルの鳴き声がします。

動きが鈍いせいで、車や林内作業車に轢かれて死んでいることがあります。

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最後に

kitajin

山の中には、まだまだたくさんの動物がいますが、印象に残っているのは以上の動物たちでした。

ほとんどの生き物は、人間を怖がっており滅多に姿を現せません。昼間は人間がいるので、夜行動するようになったのが、夜行性と勘違いされるようになったくらいです。

それでも姿を現すと、驚いて攻撃性を発揮することがあります。

また、動物たちが食害を及ぼすようになった原因や行動範囲を変えていくのも、人間が多少なりとも影響を与えているからかもしれません。

いずれにしても山が職場の林業では、野生の生き物と出会う確率は高いので、いざという時に被害にあわないように、心の準備と落ち着いた行動を念頭においておいた方が良いでしょう。

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