どうも元フォレストワーカーのkitajinといいます。
本記事では、労働災害が起こる要因について紹介しています。
林業一年目の人にとって、労働災害に関しては、事あるごとに言われていると思います。
林業において、労働災害が他の業種より多いのは周知の事実であり、事故が多いことを知って就職したことを公開した人もいると思います。
しかし、事故が起こるのかということを突き詰めていけば、未然に防ぐことができます。
本記事を読むことで労働災害の要因を知り、林業を始めたばかりの人たちが事故を未然に防いでもらえたら幸いです。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
労働災害の主な要因
慣れ
新しい職場の環境に慣れ、作業も一通り分かってくると、どうしても油断を招きやすいものです。
車の運転にも言えますが、慣れてきた時が一番事故を起こしやすいと言います。
林業でも同じように、作業に慣れた1年目から3年目が事故を起こす可能性が一番高いと言われています。
危険な行為についても、最初は、やらないように気を付けていたのですが、段々と慣れてくるとやるようになり、事故を起こさない限り続けます。
しかし、事故を起こす時は、幾つもの不測の事態が重なり、事故になるケースがほとんどなので、最初からやらないようするのが正解です。
老い
人間、いつかは衰えがきます。
以前は難なく出来ていた事も、歳をとると出来なくなる時が来るものです。
林業では、6、70代でも現役で続けている人も多く、また、そういう人が事故を起こす事例が非常に多いです。
若いころなら事故に至らなかったケースでも、同じ条件で逃げ遅れるということがあります。
以前、一緒に働いていた先輩作業員のおじいさんが、何度も危ない目に合っているのを目撃しました。
いつまでも自分は若く、大丈夫だという、思い込みを持たないことが大切です。
歳を重ねるごとに、作業内容も変化していき、より安全で生産性が上がる方へと、向かうようにしたいものです。
不調
長いこと林業に従事していると、体調がいい日もあれば悪い日もあります。
生活の変化や行事等で深酒、病気や怪我、その他いろいろな条件が重なり、いつもと違う条件で仕事をこなさなくてはならない日もあります。
そういう時にたまたまミスをしてしまい、いつもと違う体調で、判断を間違えて重大事故に繋がる可能性もあります。
ですので、林業では、日々の体調管理の大切さが言われているのです。
環境ストレス
環境ストレスとは、周囲の環境により受けるストレスのことです。
人間は、自分で思っているよりも多くのストレスに晒されています。そして、林業とは、気づいていない環境ストレスの強い職場なのです。
以下のようなことでもストレスになり得えます。
- ずっと斜面に居ること
- 害はないけどまとわりつく虫
- あらゆる汚れ
- 重い荷物
- 燃料の排気ガス
- 気温や湿度の変化
- 花粉や粉じん
- 神経を使う作業の連続
- 工期や作業のスピード
- 会社や先輩の思惑
などなど、思っているよりずっと、多くのストレスを感じながら仕事をしているのです。
そして、これらのストレスが脳に及ぼす影響はバカになりません。
脳が疲れていることで、作業にミスが生まれたり、楽をしたいばかりにあえて危険な作業を選んでしまうのではないでしょうか。
焦り
人間焦ると、どうしてもミスが出てしまいます。
簡単なことでも、焦せるとミスを犯してしまうことは、誰もが経験あるのではないでしょうか。
焦りには、状況で焦る場合と、本人の性格で焦る場合とがあります。
状況による焦りは、終業時間に間に合わせたいなどの時間の焦りや、人に急かされることもあります。
焦りやすい性格の人は、せっかちだったり、思慮が足らなかったりします。
ですので、焦りやすい性格の人は、普段から余裕をもって行動するということを心掛けたり、焦りが生まれる状況を作らないように心がけることが重要です。
経験不足
経験不足というのは、恐ろしいものです。知っていれば回避できることも、知らずにいると事故に繋がることがあります。
ある程度、勤続年数が経っていても、気づかずに通り過ぎてしまうこともあるのものです。ですので、より多くの事故の事例を知ることが大切になってくるのです。
経験の少ない人は、事故事例を他人事だと思わずに、自分に置き換えて、考えて、作業をしていくことが大切になってきます。
無理をさせている
本人が、危険な作業で事故を起こすこともありますが、事業体が実力以上の仕事をさせて事故を起こすケースも往々にしてあります。
人員不足を補わず、工期に間に合わせるためと、つい作業員を無理させることが事故に繋がるのです。
やはり、監督者である事業体は、作業員に余裕のある作業を徹底すべきです。
しかし、つい、利益優先や今までは問題なかったからと、作業員の負担について見過ごしています。
そして、事故を起こしてやっと、通常以上の作業をさせることが如何に恐ろしいかということを知るのです。
事業体は、利益優先だけではなく、いかに作業がしやすい環境を作るかに重きを置いた方が、結果、作業効率が上がると思うのですが、どうでしょうか?
仕事への不満
仕事への不満、上司や仲間への不満が事故に繋がることもあります。
不満を持ちながら仕事をすることにより、意識が散漫になり、集中力が欠けて動きも鈍くなるのです。投げやりな態度で仕事をするようになり、楽をして早く終わらせようと考えたりもします。
不満は自分を危険な目に合わせる元凶です。
そういう態度で仕事をしている人がいたら、如何に危険だと考えを改めた方がいいでしょう。
不満を持って仕事をしているのなら、今の職場を辞める方が、よほど自分のためにも会社のためにもなります。
自分が仕事ができないと思われたくない
作業員の中には、作業量が評価されることで、自分が他の作業員より劣っていると思う人がいます。
また、出来ないと思われたくないから、他人を頼れなかったり、一人で何とかなると、危険な作業に手を出してしまうこともあります。
特に、個人で作業量が分かる仕事は、評価が気になり、つい焦って、楽で危険な作業を選びがちになるのです。
ですので、事業主は、作業員の個性や心理をくみ取って、個別に言葉をかけていくことが望ましいです。
周りが見えていない
事故の事例を見ていると、作業員同士、相手が何をやっているのか分かっていない場合があります。
特に伐採作業に多く、伐採範囲に入ってきたのに気づかなかったり、逆に伐採範囲に入っているのに気づかずに作業するのです。
倒れてくる木がぶつかるなんて、普通に考えたらあり得ないのですが、そんな事故事例が実際にはあります。
前述のように、お互いが何をしているのか分かっていないということが原因として挙げられますが、これは現場の地形が関係していていることもあります。
周囲が立木に囲まれていたり、地形で、伐採者も作業者もお互いが見えづらかったりするのです。
また、作業現場はそれほど広くなく、安全に伐採するための範囲、倒す木の樹高の2倍の退避が困難な現場も原因の一つです。
ですので、伐採者は必ず周囲に伐採の合図をして、伐採範囲に人がいないか確認してから倒さなくてはいけません。
また、他の作業者はどこで伐採を行っているのか常に注意深く見ていないといけないのです。
事故を回避するための心得
次に、事故を回避するために日ごろからどのような態度で臨めばいいのかを考えていきたいと思います。
他人を事故から守る心得
ミーティング
毎日の作業をする中で、つい安全意識が薄れていってしまいます。それを防ぐためには、毎日のミーティングが大切になってきます。
ミーティングの良いところは、お互いの作業内容の把握と安全に対する意識を作業員全員の共通認識させることです。
常に作業員がどこにいるのかを把握する
作業現場というのは、一つとして同じ条件のモノがなく、案外、狭いものです。
伐採時の樹高の2倍の退避が出来ない現場など当たり前のようにあります。
なので、余計にお互いがどこで仕事をしているのかを気にすることが大切になってきます。
伐採時は合図を送る
毎日の作業をしていると、つい、合図するのが面倒になるものです。
しかし、合図を習慣化すれば、自分も落ち着いて仕事が出来るし、作業員も合図が聞こえたら、退避をしなくてはならいと習慣化されます。
また、合図を習慣化することは、単に作業を知らせるだけでなく、安全意識を持ち続けるためのきっかけになるはずです。
そして、伐採者は周囲に誰もいないことを確認してから伐採に入れます。
重機に乗っている場合は周囲の確認をしてから動き出す
重機に乗っていると、どうしても周囲が死角になって見えないときがあります。
周囲を確認せずに旋回したり、発進した時に作業員を巻き込んでしまう事があるのです。
動き出す前にまず、周囲を確認してから動くようにしなくてはなりません。
そして、ここでもお互いが何をしているのかを分かっていなければいけません。
事業体が率先して安全対策をする
以上のことを、作業員個人がやることはもちろんのこと、何より事業体が率先して安全意識を持たなくてはなりません。
現場任せにせず、事業主が危険な作業をしてないかを把握して、対策していかないと事故が起こる可能性が高まります。
また、万が一、事故が起きた時は作業員の責任だけでなく、事業体全体の責任と受け止め、今後に活かさないと同じような事故は起きる可能性が出てきます。
普段から安全意識が薄い人がいます。こういう人は自分を過信しており、何とかなると思っています。
また、今まで何とかなってきたのですが、年齢と共に肉体が衰えてきた時、事故にあいやすいのも事実です。
ですので、事業体としては、入社時から作業の安全をマニュアル化させておくことをオススメします。
自分を事故から守る心得
自分が何をやるのかが分かっている
当然ですが、自分がやろうとしていること、やっていることをきちんと把握していることは大切です。
ただ、事業体から木を伐れと言われて伐っているのと、どういう理由でこの方向に伐るのかを分かっているのとでは、安全に対する意識も変わってきます。
自分で問題意識を持つようにしないと、安全に対する意識も違ってきます。
落ち着いて作業をする
常に落ち着いて作業することは難しいものです。
工期が迫っていたり、何らかの理由で心が乱れたままに伐採をすることがあります。
寝不足や体調不良などの肉体的なことと焦りや苛立ちなどの精神的動揺、二つのことを気にしながら作業に心がけるべきです。
無理な作業、危険な作業をしない
仕事量が多いと、つい手抜きをしたり、危険な作業をしてしまいます。
自分が仕事をできないと思われるのが嫌で、頑張るのですが、結果、危険な作業をしてしまい、それが事故に繋がるのです。前述しましたが、どんなに作業効率が悪くても、事故を起こして休むよりはいいので、自分のペースで仕事をするようにしましょう。
体調管理を整える
事故を起こさないためには、日々の体調管理も大切になってきます。
体調が悪いと、どうしても動きが鈍くなったり、判断が鈍ったりするからです。
そこに普段では起こりえないことが起こるとそれが事故に繋がる可能性があるので、普段から体調を整えておくことが大切になってきます。
しかし、どうしても毎日、同じように調子が良いと言うことはないので、そういう時は、周囲に助けを借りて、休むことも必要です。
甘えられるためには、普段から周りとのコミュニケーションが大切になってきます。
最後に
林業の恐ろしいところは、たった一つのミスが重大な事故につながる可能性があることです。
他の仕事なら亡くなることなどないのですが、林業では十分あり得ます。
誰もが知っているのですが、つい毎日のことで常習化してしまいます。
危険であると言うことを忘れずに、日々の作業をこなし、常に周囲とコミニケションを取って安全を共通認識にしていけば、事故は未然に防げるはずです。
皆さん、ご安全に。