どうも 元フォレスト ワーカーのkitajinです。
本記事では、浜松林業の冬についての紹介をしています。
〇この記事で分かる事
- 林業の冬の作業
- 冬の作業の注意点
ボクの暮らす静岡県浜松市では、雪はあまり降りませんが、それでも、山の仕事では厳しい寒さを強いられます。冷たい風が吹き、時雨れたり、山道は路面凍結します。
また、体が思うように動かず、怪我にも注意が必要ですし、林業の職業病である、振動障害なども気をつけなくてはいけません。
本記事では、冬をむかえるにあたり、どのようなことに注意すればいいかや冬を乗り越えるアイテムなども、あわせて紹介しています。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
林業 冬の作業
手足の冷えは防げない
冬場の作業には、手足の冷えは大敵です。特に指先は、冷えると、力が入らなくなり、作業に支障をきたすことがあります。
どんなに防寒しても、手足の冷えは防げません。また、あまり厚手の手袋などを使用すると、作業がしづらかったりします。
現代は、便利なグッズも出てきて、ヒーター付き、手袋や靴下なども売っているようですが、まだ林業に使えるほどの耐久性はなさそうです。
休憩時間などに、使用するのはいいかもしれません。
雪でも作業はやる
雪国ではないので、あくまでも聞いた話ですが、豪雪地帯では、雪の中で伐採搬出作業をしているようです。
しかし、静岡県でも、偶に雪が降りますし、長野県との県境などの山深い地域では、毎年のように雪が積もります。
雪の中でも、基本、作業はやりますし、よほど吹雪いていたりしない限りは、休工にはならないと聞きます。
作業がはかどる
寒くなると、ジッとしていられず、体を動かし、暖めようとします。ですので、自然に作業効率が上がります。
体力的にも、夏場は少し動くだけでバテますが 、冬場はいくら動いても、バテることはありません。
寒いことを抜きにすれば、働きやすい季節だと個人的には思います。
あくまでもボクの場合ですが、昼休憩まで、ずうっと動き通しです。
汚れもつきづらい
夏場は汗をかいたり、湿度が高いので、作業着が汚れやすいですが、冬場は空気が乾燥しているのと、汗をほとんどかかないので、作業着が汚れることがありません。
同じ作業着を何日も着て、作業できるくらいです。
ただし、雪の中の作業は、反対によく汚れます。雪が解けて、手袋や作業着につくからです。
粉雪のようなサラサラした雪なら、汚れないかもしれませんが、いずれにしても、林業の場合は、木を移動させるので、その時に地面を踏むので、雪がとけて、泥になります。
伐採には最適の季節
昔の林業では、冬場に伐採して、春に搬出するというサイクルを取っていたといいます。
理由は、木は、冬になると水分を吸い上げるのを止め、水分含有量が減りることで、のちの作業が楽になるからです。
例えば、昔は搬出するときに、人が背負って山を下りることもあったので、その時に、水分を含んだ木とそうでない木とでは、重さがまるで違い、より体積のある木を運べたと言います。
また、春まで葉枯らしをしてから搬出したほうが、のちの乾燥にも時間をかけずに済みます。
その他にも、冬が伐採に適している理由として、水分を引き上げていない木は、重機で掴んでも皮がめくれなかったり、伐採時に、倒した木が立木に当たり、立木を傷つけるのを最小限に抑えるなどの効果があるからです。
通勤時は路面凍結に注意
山間部は、平野部に比べ、気温が低く、日陰も多いです。また、沢や川、池など水がある場所が多いので、路面凍結しやすい場所が多いです。
坂道が凍りつき、登れなくなったことも何度かあります。
浜松市は、あまり雪が降らず、凍結などの備えをしてないので、雪が積もると、ノーマルタイヤなので困ります。
雪国の作業
冬の林業では、雪国と、そうでない場所とでは、作業に大きな違いがあります。続きましては、雪国ならではの作業を紹介します。
雪起こし
「雪起こし」は、積雪によって倒れたり、曲がったりした木を縄を使って1本ずつ、人の手で起こし支える作業です。積雪地帯特有の作業で、縄の運搬や木の引き起こしなど大変な重労働ですが、積雪地帯で林業を行い、良質な木に育てるには欠かせない作業となります。
とやまの林業を知る - 林業とは?|とやまの林業就業ナビ (taff.or.jp)
雪解け後、直ちに作業を行うことで、若木の正しい成長を促進すると言われています。
雪の重みで木が折れる
雪国では、雪の重みで木が埋もれたり、倒れたりする他に、木が折れることがあります。
特に、先端部分や枝などは、折れやすいので、樹幹が折れた木があちこちにある、なんてこともあるそうです。
また、伐採時に、倒した木から、大量の雪が落ちてくることがあるそうです。
木が凍る
木は、水分を含んでいるので、氷点下になると木も凍ります。
「凍裂」という言葉があるように、木が凍り、裂ける現象が起こることがあります。
また、これは聞いた話ですが、凍った木にチェーンソーを入れると、「パンッ」と音を鳴らし、木が裂けることがあるそうです。裂けた経験はありませんが、チェーンソーを入れた木の中身が凍っていて、変色しているのは見たことがあります。
冬の作業の注意点
いきなり動くのは怪我の元
冬の作業開始時に、いきなり動くのは怪我の元です。
体が硬くなっているので、作業前に、準備運動をして、体を慣らしてから、ゆっくり動き始めた方が良いでしょう。
また、寒くなると、ギックリ腰になりやすいです。
きちんとしたデータはありませんが、ボクの周囲でも、秋の終わりから、冬の始まり辺りに、ギックリ腰になったという事例をよく聞きます。
ですので、冬はギックリ腰になりやすいと思っていましたが、科学的根拠はありません。
滑りやすい
冬の山は、とにかく滑りやすいです。
路面が凍結しているのはもちろんですが、木も凍るので、倒れている木や落ちている枝で、足を滑らせることがあります。
それ以外にも、溶けた雪で、地面がぬかるんでいたりすると、滑りやすくなります。
雪は厄介
前述のとおり、雪は林業にとっても大敵です。
人に害をもたらすのはもちろんの事、木にも大きな被害をもたらすことがあります。
雪の中で作業していると、衣服や靴、手袋などに雪が染み込んできて、濡らしていきます。
ただでさえ、寒いのに、追い打ちをかけるよう、手足を凍えさせます。
振動障害に注意
冬に注意が必要なのは、雪や凍傷だけではありません。
振動障害という、職業病にも気をつけなくてはなりません。
振動障害は、主に手・腕を通して身体に伝わる局所振動によって引き起こされる障害で、末梢循環障害、末梢神経障害、運動器(骨・関節系)障害の3つから成り立っています。
振動障害の原因は複雑で未解明であり、主に手で持つ電動工具からの繰り返しの振動が血管、神経、骨、関節に損傷を与え、それらが相互に関与して発症すると考えられています。高周波の振動は手指で吸収され、血管や神経系の障害を引き起こす原因となります。
振動障害の症状には、末梢循環障害では手指の冷えやしびれ、末梢神経障害では指のしびれや触覚の低下が含まれます。特に振動刺激を最も受けた指から始まる左右非対称性のレイノー現象も見られます。これらの症状は寒冷刺激で悪化し、他の基礎疾患との鑑別が必要です。
振動障害について | メディカルノート (medicalnote.jp)
振動障害には、寒さが大敵なので、冬場は、常に暖を取るように心がけたいところです。
厚着は動きづらい
寒さを防ぐためには、厚着をしたいところですが、しかし、厚着をすると、作業がしづらく、動きが鈍くなります。
また、裾などがどこかに引っ掛かり、怪我や事故のもとになりかねません。
しかし、現代は、ヒートテックなどの薄くても暖かい服やヒーター付きの服まで売っているので、寒さ対策になりそうです。
風が強い日は注意することが多い
晩秋から春先にかけては、日によって、強風が吹くことがあります。
風が強い日に作業すると、木があおれて、重心が変わったり、伐倒方向がずれたり、伐採木が倒れないことがあります。
また、反対に、かがり木になって外れない木が、強風にあおられて、思いがけずに落ちてくることがあります。
このように、強風時の伐採は予測がつきにくいので、十分に注意が必要です。
陽が沈むのが早い
冬場は、日が沈むのがとても早く、特に山の中では、あっという間に暗くなります。
まだ明るいと、作業をしていると、作業を終えて、山を降りるころには、暗くなって道に迷う、なんてこともあります。
昔話や山の怪談話で語られる、山の恐ろしさは、日が沈む早さに恐れた、昔の人の心理状態かもしれません。
本当に、あっという間に暗くなるので、注意が必要です。
虫がいない
あれだけ多くいた虫たちも、冬場になると、まったく姿を見かけなくなります。
虫嫌いにとっては、良いことです。特に害虫の類がいないのは助かります。
余計な気を遣わずに、茂みを歩けますし、一つ危険が減るからです。
以前、冬場に木を伐採しようとしたら、切り口から蜂の巣が出てきて、寒くて動けなくなった蜂がゆっくりと現れたことがありました。
夏場だったら、大変な目に遭っていたな、と思った瞬間でした。
冬場の対策
準備運動をする
作業前に準備運動をします。
準備運動をすることで、以下のような、効果を得れます。
- 気持ちの切り替え
- 心にゆとりができる
- 怪我の予防につながる
意外とみんな、準備運動をしないので、 一度試してみてはどうでしょうか。
薄くてあったかい服を着る
最近は、薄くて暖かい服がたくさん出回ってるので、それらを着用した方が良いでしょう。
前述の通り、あまり厚手のものを着ると、作業がしづらくなり、怪我のもとにもつながります。
インナーで暖かいものを着て、作業をすれば、寒さ対策になります。
できるだけ暖をとる
日頃から、暖かくし昼休憩の時などは、なるべく、暖かい格好をして、暖を取ることが重要です。
作業現場が、車の近くにあればよいのですが、そうでない場合は、なるべく風が来ない日向に行くしかありません。
昼休憩などに、暖かい飲み物を飲むだけでも違うので、意識してみてはどうでしょうか。
湯船につかる
僕もそうでしたが、以前は、湯船に浸からず、シャワーだけで済ますことが多かったです。
しかし、湯船に浸かることで、体を芯まで温まり、血行を促進して、寒さ対策になります。
湯船につかる時間や浴槽の掃除などで、ついお風呂につかることが、面倒に感じることがありますが、冬を乗り切るためには湯船につかると良いでしょう。
よく寝る
寒い時に、睡眠が大切なのは、意外かもしれません。しかし、寒いと、眠りが浅くなりやすいと言われています。
眠りが浅いと疲れが取れず、疲れがとれないと仕事に支障が出ます。
また、疲れを感じていると、体温が調節がうまくいかなかくなります。ですので、冬場を乗り切るには、睡眠を大切にしましょう。
暖かいものを食べる
湯船に浸かるのと同様に、暖かいものを意識的に食べるということも重要です。
休憩時間などに、温かいものを口にするだけでもずいぶん違います。
また、仕事が終わったら、体の芯から温まるような食事をとりたいものです。
さいごに
林業は、四季を直に感じられる、職業です。
他の職業では感じられない自然を感じられるのは、林業の特権だと、個人的には思います。
季節の厳しさを感じると、気持ちが萎えてしまいますが、雪が降る地方に比べれば、浜松はずいぶんと穏やかな気候で仕事ができます。
雪国の冬の厳しさを知らない自分が偉そうなことは言えませんが、それでも、振動障害検査にひっかかった身としては、冬の防寒対策は、重要だと感じています。
現在では、様々な防寒グッズが世に出回っているので、それらを活用して、林業ライフを充実していきたいものです。
少しでも参考になれば幸いです。