どうも、元フォレスト ワーカーのkitajinと申します。
本記事では、2024年に、私の身近で起きた怪我の事例とどうすれば怪我を防ぐことができかを紹介しています。
林業では、怪我をするということは日常茶飯事であり、気をつけていても怪我をしてしまうことがあります。しかし、怪我をするには必ず原因があり、しっかりと対処をすれば防ぐことができます。
本記事を読むことで、自身の行動を振り返る注意喚起になれば幸いです。
この記事を書いた人
- 静岡県浜松市で10年間林業に従事
(素材生産業者で伐採を主にやっていました)
- 林業に関する基本的資格はすべて取得
(林業架線作業主任者の国家資格取得者)
- 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営
(運営歴1年の新人です)
林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。
※本記事には、プロモーションが含まれています。
ちょっとした油断が招く怪我
枝払いにて
最初の事例は、自分の身に起きたものです。
木の上にチェーンソーを滑らせて枝を払っていたのですが、その瞬間に枯れ節の破片が勢いよく飛んできて、瞼の上にあたりました。
当たった痛みで、頭がクラッとして、しばらくその場で動けなくなりました。患部を触ってみると、ぬるっとした感覚がしたのです。まぶたを少しカットして、血がでていました。
幸い、少し切っただけで済みましたが、もし、眼球に当たっていたら、大きな怪我になっていたかもしれません。
原因 フェイスガードを下ろしてなかった
枝の太い大径木の枝払いにて
大径木の杉を伐採していた時のことです。倒した木が、ちょうどヒノキの立木の間に倒れ、立木と杉の長い枝が絡み合いました。
それを枝払い作業をしていたのですが、絡み合ったヒノキの枝が弓なりになっているのに気づかずに、チェーンソーで切った瞬間に張力を解放された枝は、眉毛の上のあたりを直撃してきました。
作業員は、ヘルメットが飛ぶほどの衝撃を受け、目の上の切り、しばらくうずくまっていました。血が止まらずに作業を中断して、病院に直行しました。
幸い、縫うほどの怪我ではありませんでしたが、こちらも当たり所が悪ければ、もっと悪い状況になっていたかもしれません。
原因 枝の状態を確認せずに切り込んだ
造材した材を集材する作業にて
谷側にある造在した材木を、グラップルのウインチで引き寄せる作業をしていた時です。
つけ子がスリングを通し、合図を送り、グラップルのオペレーターがウィンチで引きよせていたのですが、材の先端が切り株にあたり、閊えて材の方向が変わり、材の後方がつけ子に向かってきました。
そして、つけ子の足に材が当たり、しばらくうずくまるほどでした。骨には異常はなかったのですが、打撲を負い、数日間休みました。
原因 退避を十分にとってなかった
急斜面での掃除伐にて
掃除伐をやっていた時のことです。
シダの群生の中で、傾斜になっているのに気づかずに、誤って斜面を転がり落ち、数 m下に落ちました。
そして、足に捻挫と打撲を負ったのでした。
原因 足元の確認を怠る
足元の材の枝払いにて
足元の材の枝払いをしている時、ソーチェーンが突然、切れて、先端が勢いよく足袋に当たり、親指の付け根にあたり突き刺さりました。
作業員は自走で帰りましたが、後日聞くところによれば、骨にヒビが入り、数針縫う怪我で全治一か月と診断されました。
原因 チェーンストッパーをつけていなかった
安全に作業をするには?
事前に危険予知
作業をする前に、どんな危険が潜んでいるかをあらかじめ考えてから作業に入ることが望ましいです。
また、朝のミーティングとして、どういう危険があるかということを作業員同士話し合い、最初から認識して作業に至るかかることがあげられます。
確かめてから作業
作業をしている時に、一つ一つの動作を事前に確認して作業をしていきます。
慣れてくると、つい、いつも通りの作業手順で流れ作業的に行ってしまいますが、そこに、いつもと違う危険が潜んでいるのです。
また、落ち着いて作業をすることでミスが減り、結果、作業効率が上がっていきます。
安全策を取る
安全を確かめながら作業することも重要ですが、もう1つ重要なのは、何かあった時に体を守ってくれる防護策を取ることです。
ヘルメットはもちろん、フェイスガード、イヤーマブ、防護ズボン、足袋や手袋など、林業には、もしもの時に体を守ってくれる装着が充実しています。
お金がかかるとつい、防護策のない道具を使いがちですが、万が一を考えて、安全策のある道具を使うことが望ましいです。
余裕を持って作業する
作業する時の心構えも安全対策として重要になってきます。
時間がなかったり、心に余裕がないとどうしても安全より作業を優先してしまいます。結果、ミスをしたり、怪我に繋がったりするのです。
心にゆとりを持って、作業をすることで普段より安全に作業することができます。
過信しない
作業に慣れてくると、これぐらいだったら大丈夫だろうという、考えの甘さが出てきます。
退避を取らなかったり、確認せずに作業をしてしまうのです。しかし、林業では、どこに危険が潜んでいるのかわかりません。
常に何が起こるかわからないという気持ちで、過信はせずに疑ってかかるという心構えも必要です。
体調を万全にしておく
常日頃から、体調を整えることも大切です。
寝不足は集中力や考える力の低下を招き、普段と違う選択を招きます。また、風邪や二日酔いなども同様です。
いつもの作業が、体調の変化で危険になる場合があるのです。常日頃から、体調を整えておくようにしたいものです。
怪我を回避するアイテム
最後に防護アイテムを紹介しておきます。これらを使用して、安全に作業を行えるようにしましょう。
防護ズボン
防護ジャケット
防護手袋
ヘルメット
応急セット
まとめ
林業の作業はどんなところに危険が潜んでいるのか分かりません。
林業では、経験年数が多くても、危険を回避できるとは限らないのです。今回紹介した事例に出てくる作業員のほとんどが、経験年数10年をこえるベテランばかりだということからも証明しています。
ほんの一瞬の油断が、ほんの些細なミスの重なりが事故につながることはあります。常に怪我のリスクがあることを踏まえて、慎重に作業するのが望ましいのです。
また、これは自分の話ですが、以前は早く作業を終わらせることが重要と思い、余裕のない、いい加減な作業をしていました。そのせいでミスをしていましたし、怪我も何度か経験しています。
早く作業を終えることが会社の利益に繋がると思っていたのですが、林業ではミスをなくし、怪我のリスクを減らすことこそ、結果、効率的な作業に繋がることを今更ながら実感しています。
会社単位、作業員同士で、作業の安全性について話し合ってみてはいかがでしょうか。