林業浜松

林業では避けられない“蜂との遭遇”スズメバチに刺された体験談

kitajin

どうも、元フォレストワーカーのkitajinです。

本記事では、2025年夏にボクが大スズメバチに刺された体験談を紹介します。

普段、スズメバチを警戒しているボクが、なぜ刺されたのか?

その状況と刺されてからの行動、また、どうすればスズメバチに刺されないかなどを、体験を通して知りえた事実と推測などで紹介します。

本記事を読むことで、スズメバチに刺されないことはもちろんのこと、どうすれば回避できるかなどを紹介しています。

林業従事者はもちろんのこと、スズメバチに刺されたくない人はぜひ、最後まで読んで参考にしてください。

この記事を書いた人

kitajin
  • 静岡県浜松市で10年間林業に従事

(素材生産業者で伐採を主にやっていました)

  • 林業に関する基本的資格はすべて取得

(林業架線作業主任者の国家資格取得者)

  • 林業の情報を発信したくて林業ブログを運営

(運営歴1年の新人です)

林業の魅力や重要性などを実体験を通して発信していくつもりなので、林業に転職を考えている方は参考にしてください。

※本記事には、プロモーションが含まれています。

林業では避けられない"蜂との遭遇"スズメバチに刺された体験談

スズメバチに刺された体験

刺されたときの状況(季節・場所・作業内容)

僕がスズメバチに刺されたのは、2025年8月29日午前11時頃でした。

場所は静岡県浜松市天竜区の山林で、元々あった作業道の修繕と拡幅の作業中のことです。ザウルスを使い、山側ののり面を広げたり、谷側の土を盛ったりしていました。

この時期は、スズメバチの活動が最も活発になる時期だと分かっていました。巣も大きくなり、働き蜂の数も最大になる季節です。そのため、いつも以上に周囲に気を配りながら作業をしてなくてはいけないということは分かっているつもりでした。

しかし、何度もその道は通っていたので、ココにはスズメバチがいないと油断して、キャビンとフロントガラスを開けていたのが、そもそもの間違いでした。

掃除伐をしていなかったので、両側に生えている灌木をザウルスで引っこ抜いたり、のり面のシダをはぎ取ったりしていたのですが、その時、一匹の羽虫がキャビン内に入ってきたのです。

すぐに気づいたのですが、この時期はアブなどがしょっちゅうキャビンの中に入ってくるので、それもアブだと思っていたのですが、突然、ボクの左腕を刺して、外に飛んでいきました。

「えっ?今刺された?なんで?」

それが大スズメバチだったことは、刺された箇所の痛みからすぐに気づきましたが、なんで自分が刺されたのか理解できませんでした。通常、スズメバチは遭遇してもいきなり刺してくることはないからです。

もしあるとしたら、それは近くに巣があるか、ハチを刺激した時だけです。

混乱した頭で動けないでいると、ふと下を見た瞬間、無数の蜂が草の間からキャビンに向かってあがってくるのが見えました。

ようやく自分が巣の真上にいて、巣を刺激していたことに気づきました。

無数のスズメバチが自分を攻撃しようと向かってきていることに、とっさにキャビンから飛び降りて、逃げることを最優先しました。

逃げながら、何匹も体を攻撃してくるのがわかりました。途中で、右腕と、両肩の三箇所を刺されました。

転げるように作業道を走り、巣から離れたことにより、ハチはそれ以上は追っては来ません。

息を整えて、転んだ時の擦り傷と、ハチに刺された痛みを引きずりながら、山を降りて病院に行こうと思いました。何よりもアナフィラキシーショックが怖かったからです。

ボクは以前、スズメバチに刺されていたので、二度目に刺されるとアナフィラキシーショックを起こすというのが頭にあったので、ハチに刺されるのを極端に恐怖していました。

それがいきなり四か所も刺されたのです。急いで病院に行かないと大変なことになるのでは、と車まで戻ろうとしたその時、あることに気づき、愕然としました。

車のキーとスマホをキャビンの中に置いたままだったのです。すでにザウルスから離れて車の手前まで来ていました。

引き返す時間はあるのか?

アナフィラキシーショックは大丈夫なのか?

まだスズメバチがザウルスの周りを飛んでいたら?

このまま、山を降りて助けを求めたほうが早いのではないか?

いろんなことを考えましたが、結局、ボクは引き返すことを選択しました。それが一番、助かる可能性があると判断したからです。

刺されてから二十分。息を切らしながら作業道を引き返して、ザウルスまでたどり着くと、そこにはもうスズメバチはいませんでした。

ボクは車のキーとスマホをもって急いで車に乗って、電話のつながる場所にいき、元受けの会社に連絡を入れて、病院を教えてもらい、病院に連絡して、車で向かうことにしました。

どんな痛み?どんな症状が出たか

刺された瞬間、熱した針を突き刺されたような激痛が走りました。

刺された箇所がジンジンと痛み、気もそぞろになるほどです。刺されてから、数時間で患部が腫れあがります。

しかし、スズメバチに刺されて何より、嫌なのが痛みより痒みです。特に、痛みは数日で消えますが、痒みは一週間以上続きます。特に刺された日の夜は、痛み2に対して、痒み8で眠れないほどでした。

それと、患部だけでなく、腕全体がパンパンに腫れあがります。手をつよく握れないくらい、指先まで腫れあがるのです。

痛みのピークは刺されてから2〜3時間後で、その後は徐々に落ち着いていきました。しかし、腫れと痛みは1週間ほど続き、完全に症状が消えるまでには2週間近くかかりました。

幸い、ボクはその程度で済みましたが、ハチに刺された症状に個人差が大きいようです。人によっては以下のような症状が出るようです。

  • 激しいかゆみ(痛みと同時に襲ってくるため非常に不快)
  • 吐き気とめまい
  • 全身に広がる発疹(これが最も不安でした)
  • 呼吸困難
  • 意識障害
  • 血圧の低下

特に、アナフィラキシーショックになると、最悪、死に至ることがあるので、以下の症状がある場合は速やかに医療機関を受診することを薦めます。

厚生労働省ホームページ参照 tp1122-1h01_r01.pdf

もっとよく知りたい方はこちら→ アナフィラキシーの軽度の症状と放置せずに行うべき対処法について | ひまわり医院(内科・皮膚科)

病院での応急処置とその後の対応

腫れた右腕

病院での処置内容・費用・経過

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山を下りて約1時間後、最寄りの病院の外来を受診。事前に電話しておいたので、すぐに対応してくれました。山間の病院だったので、スズメバチに刺された患者には慣れているようでした。

病院で受けた処置

  1. 問診と症状の確認 - いつ、どこで、何に刺されたか、過去にハチに刺された経験はあるか、現在の症状などを聞かれました。
  2. 患部の観察 - 刺し口を確認。ポイズンリムーバーで針と毒を吸い出します。(スズメバチの場合、針は残らないのが通常です)。その後、冷却シートで冷やす。
  3. 処方箋 - 抗ヒスタミン薬(内服)、ステロイド軟膏、痛み止めが処方されました。
  4. 経過観察 - 念のため、2時間ほど院内で安静にし、症状の悪化がないことを確認してから帰宅を許可されました。

費用について

  • 初診料、処置料、薬代などを含めて、合計約4,000円(3割負担)

医師からは、「今回は比較的軽症で済んだが、次に刺された場合はアナフィラキシーショックを起こす可能性が高い」と警告を受けました。そのため、今後林業を続けるのであれば、エピペンの携帯を強く勧められました。

ボクは以前、エピペンを処方してもらおうと病院を訪れたことがあります。

その時に医師から言われたのは、

  • エピペンには消費期限(確か1年)があること
  • ハチに刺されて、アナフィラキシーショックが起こるのは、10分~15分程度という短い時間ということ

その間に車までエピペンを取りに行く時間はないと判断して、諦めました。しかし、今回のことで、改めてエピペン購入を考えさせられました。

エピペンについて詳しく知りたい方はこちら→エピペン®︎は保険適用される?価格や副作用を解説 | ミナカラ(minacolor)

その後の経過

  • 1日目:腫れと痛みがピーク。患部が熱を持ち、夜も眠りにくい状態。
  • 2日目:腫れは引かないものの、痛みは徐々に軽減。かゆみが強くなる。
  • 1週間後:腫れがほぼ引き、日常生活に支障なし。ただし、患部に軽い痛みとかゆみが残る。
  • 2週間後:ほぼ完全に回復。患部にわずかな色素沈着が残る程度。
kitajin

幸い、大きな後遺症もなく回復しましたが、この体験は林業における危険管理の重要性を改めて認識させられました。

林業とスズメバチ――避けられないリスク

山では様々なハチに遭遇する

ボク自身、これまでの林業経験の中で、数え切れないほどハチを目にしてきました。

山林はハチにとって理想的な生息環境なのです。

樹液を出す木々、豊富な昆虫、人間の干渉が少ない静かな環境。これらすべてが揃っているため、山には驚くほど多くのハチが生息しています。

スズメバチと遭遇しやすい状況

  1. 季節 4月から11月までの間。特に、7月から10月は巣が最大規模になり、働き蜂の数も攻撃性もピークを迎える時期です。
  2. 場所 山のいたるところにいるので、どこに気をつけたらいいのかありません。しかし、特に巣を作りやすい場所はあります。例えば、木の根の空洞内や朽ちた廃材の中、木の枝の上、岩の隙間などです。
  3. 特に気をつけたい作業 どの作業も、基本的にハチと遭遇しますが、刈払いを使う作業は、特にハチに遭遇する確率が高い作業と言えます。エンジン音により、ハチの羽音も聞こえませんし、巣に近づくことも多いからです。
  4. 遭遇しやすい時間帯 スズメバチの活動が活発になる時間帯は早朝と夕方であり、遭遇率が高まります。これは、スズメバチが18℃以上にならないと活発に行動できないからです。彼らは規則正しく、パトロールのように同じ場所を同じ時間帯に飛んできます。
  5. 巣に近づいた以外で近づいてくる原因 先ほども述べたように、パトロールのように人の周りを飛び回ることがあります。この時は、刺激しない限り、刺してくることありません。また、香水や果実の香りに引き寄せられることがあります。

林業の現場では、ズメバチとの遭遇は避けられないリスクです。なるべく出会わないように対策をすることが大切です。

巣の見つけ方・気づき方のコツ

kitajin

ここからは、少しボクの独断的な推測も含まれますが、スズメバチの発見方法について紹介したいと思います。

スズメバチの巣は、種類によって作られる場所が異なります。ボクが刺されたのは地中に巣を作る大スズメバチでしたが、他にも様々なタイプがあり、巣を事前に発見できれば、危険を大幅に減らすことができます。

巣がある兆候

  1. スズメバチの飛行ルート 同じ方向に何匹ものスズメバチが飛んでいる場合、その先に巣がある可能性が高いです。特に、餌を運んでいる働き蜂は一直線に巣へ戻るため、その軌跡を追うことで巣の位置を特定できます。
  2. 特定の場所への執着 ある地点の周辺を何匹もがパトロールするように飛んでいる場合、近くに巣があります。
  3. 木の洞や根元に注目 大スズメバチやキイロスズメバチは、木の洞や根元、地中に巣を作ります。不自然に開いた穴や、頻繁に出入りがある場所には要注意です。とくに注意が必要なのは、作業道の土留めとして使う木の根の間に巣を作ることがあります。ちょうど、土と木の根の空洞が死角となり、かれらにとって最適のようです。
  4. 樹上の丸い物体  キイロスズメバチやコガタスズメバチは、木の枝に球状の巣を作ります。秋になると直径30〜40センチにもなるため、比較的発見しやすいです。
  5. 以前に作業した跡地 作業を終えた後に出る枝葉やたんころといったものが堆積してある場所などにも巣を作ることがあります。それ入り組んだ枝葉などが巣を作るのに最適のようです。
  6. 巣に近づくと数匹が巣の周りを飛び回り威嚇してくる スズメバチを観察していると、巣に近づいたことを察知すると、いきなり攻撃するのではなく、警戒して周囲を飛び回ります。この時に、カチカチと警戒音を発することもあり、相手が巣から離れなかったりさらに近づくと攻撃してきます。しかしこれは、どこまで近づくとという基準が分からないので、気づいたときには刺されているということも十分にありえます。

スズメバチに出会わないための対策や知識

  1. 常に周囲を気にする 4月から11月ごろまで、常に作業する場所にスズメバチがいないかを気にすることが第一歩です。飛んでいる虫が何なのかをすぐに判断すること。スズメバチならば、どこへ向かったのか?どんな動きをしたのかを目で追って確認することで、被害を最小限に抑えることができます。特に、ココはたくさんの虫が飛んでいるな、と思った時は気を付けたほうがいいです。ハチが巣に近づかれたことにより、一斉に飛び立っているということがあるからです。
  2. 音の確認 スズメバチの羽音は、他の虫に比べて、大きく重低音です。近づいてくる虫の羽音を聞き分けて、それがどんな虫なのかを判断することも重要です。
  3. 女王蜂を退治する 春先、4月、5月に飛び回っているのは女王蜂であり、この時に、女王蜂を退治できれば、その後、スズメバチが増えることはありません。実は僕もこの時期によく女王蜂が飛んでいるのを知っていたのですが、殺し損ねたので、被害にあったという思いがぬぐえません。
  4. スズメバチが苦手な匂いを身にまとう 木酢液やハッカ油、ラベンダーなどは苦手のようです。
  5. 野生動物のフンがある場所は大丈夫? これは憶測ですが、野生動物、猪や鹿のフンがある場所にはスズメバチの巣はないのではないでしょうか。というのが、野生動物も、熊以外は、スズメバチに刺されるのを嫌がるはずだからと思ったからです。もし違うという反論がある人は、反論材料を教えてください。
  6. 罠を仕掛ける 昔から、スズメバチを捕える罠として、有名なのはペットボトルで作ったものを吊る下げておくものです。他にも、粘着シートを使ったものもあります。スズメバチは仲間意識が強いので、仲間のピンチに必ず助けに来ます。それを逆手に取った作戦です。また、現在では市販で、スズメバチ撃退アイテムも売っています。

巣を見つけたら

  • 絶対に自分で駆除しようとしない 特に7月から10月まではとても攻撃的ですし、数も多いのでむやみに手を出さないほう良いです。特に、殺虫剤を使って駆除しよう考える人がいるでしょうが、ピーク時はスズメバチが狂暴でなおかつ、スピードもあり、殺虫剤はあまりに非力に感じるはずです。また、風向きによっても、巣に到達できない場合もあるので注意が必要です。
  • 可能であれば、専門業者に駆除を依頼する お金がかかりますが、専門家に頼むのがベストです。
  • 会社全体で情報を共有し、注意喚起する スズメバチの巣を発見したら、会社全体で情報を共有することをお勧めします。班単位で知っていても、会社全体で知らないと、万一、その現場に赴くことがある場合、被害にあうことが想定されます。何かの理由で現場が変わったり、応援に行くことはよくあるからです。
  • 駆除剤を使う 現在では、様々なスズメバチ駆除剤が売られています。それらを置いて、スズメバチを駆逐しましょう。

巣の発見は、林業従事者全員の安全に直結します。日々の作業の中で、常に周囲を観察する習慣をつけることが重要です。

刺されて分かった「3つの教訓」

腫れた左腕
kitajin

今回の体験を通して、ボクが学んだ教訓は大きく3つあります。これらは、林業だけでなく、山で活動するすべての人に共通する重要なポイントです。

蜂はいるという心構え

最も重要なのは、「山には必ずスズメバチがいる」という前提で行動することです。

ボク自身、普段から蜂には警戒していたつもりでした。しかし、振り返ってみると、どこか「一度通ったから、大丈夫だろう」という油断があったことは否めません。また、作業に集中していると、周囲への注意が散漫になりがちです。

具体的な心構えとして

  • 作業前に必ず周辺を確認する習慣をつける
  • 「蜂がいないかな」ではなく「蜂はどこにいるかな」という視点で観察する
  • 特に地面近くの低木や茂み、木の根元などは要注意
  • 異常な羽音や虫の動きには即座に反応できるよう、常に意識の一部を周囲の環境に向けておく

チーム全体でこの意識を共有することも重要です。誰かが巣を発見したら、すぐに情報を共有し、全員が警戒できる体制を作りましょう。

アナフィラキシーショックの正しい知識

今回、ボクが比較的冷静に対処できたのは、過去に何度もハチに刺された経験があり、自分がどの程度のアレルギー反応を起こすかをある程度把握していたからです。

一度も重い反応を起こしたことがなかったことが、例え2度目でも、自分なら大丈夫だと思えた要因だと思います。これがもし、一度でも、アレルギー反応を起こしていれば、自分は危ないかも思って、すぐに山を降りたかもしれません。

しかし、アレルギー反応は蓄積するので、今回は大丈夫だったが、次回も安心とはならないとはなりません。

自分の耐性を知るために

  1. 過去の経験を思い出す - 以前ハチに刺されたことがある場合、そのときの症状を記録しておく。
  2. アレルギー検査を受ける - 血液検査で、ハチ毒に対する抗体の有無を調べることができます。費用は約5,000〜10,000円程度(保険適用)。
  3. 家族の病歴を確認 - アレルギー体質は遺伝的要因も大きいため、家族にハチアレルギーの人がいないか確認しましょう。
  4. 定期的な再検査 - アレルギーは後天的に発症することもあるため、数年に一度は検査を受けることが推奨されます。

特に、過去に何度も刺された経験がある人は、次回以降のリスクが高まります。林業のような高リスクな職種に従事する場合、エピペンの携帯を真剣に検討すべきです。

万が一の時に助かるルート

山の中で緊急事態が発生した場合、最も重要なのは「いかに早く安全な場所へ移動できるか」です。

今回、ボクが比較的軽症で済んだのは、刺された場所が林道から近く、すぐに下山できる位置だったことも大きな要因でした。もし山の奥深くで刺されていたら、病院に着くまでに症状が悪化していた可能性があります。

緊急時のルート確保

  1. 作業開始前に必ず確認 - 最寄りの林道、避難ルート、病院までの距離と所要時間を把握しておく
  2. 通信手段の確保 - 携帯電話の電波状況を確認し、圏外の場合は無線機を必ず携帯する
  3. チーム全体で情報共有 - 万が一、自分が動けなくなった場合に備え、誰でも救助要請ができるよう情報を共有する
  4. 緊急連絡先のリスト化 - 最寄りの病院、救急車の要請方法、現場責任者の連絡先などをすぐに確認できるようにしておく
  5. AEDや救急箱の位置 - 現場にある救急用具の位置と使用方法を全員が把握しておく

「備えあれば憂いなし」とはまさにこのことです。緊急時のプランニングは、命を守る最後の砦となります。

刺された場合の対処法

刺された直後(1〜5分以内)

  1. その場からすぐに離れる - まだ近くにスズメバチがいる可能性があるため、刺激しないよう静かに、しかし素早くその場を離れました。走って逃げると二酸化炭素の排出量が増え、さらに蜂を刺激してしまうため、早歩き程度の速度で移動しました。
  2. 安全な場所で装備を確認 - 林道まで戻り、他のスズメバチがいないことを確認してから、応急処置を開始しました。
  3. ポイズンリムーバーで毒を吸い出す - 常にファーストエイドキットに入れていたポイズンリムーバーを使用。刺された部位に当て、5回ほど吸引を繰り返しました。効果があったかどうかは正直分かりませんが、少なくとも「何かしている」という安心感はありました。医学的にも、早期に行えば一定の効果があるとされています。
  4. 患部を冷やす - 保冷剤がなかったため、作業用の水筒の水をタオルに含ませて患部を冷却。これにより、痛みが少し和らぎ、腫れの進行も抑えられた気がします。
  5. 同僚に状況を報告 - 無線で他のメンバーに「スズメバチに刺された」と報告。万が一、アナフィラキシーショックで意識を失った場合に備え、自分の位置と状況を共有しました。
  6. 症状の観察 - 呼吸困難、めまい、全身の発疹などアナフィラキシーの兆候がないか、常に自分の体調をモニタリング。軽い吐き気と発疹が出たため、すぐに下山することを決断しました。

まとめ これから林業を始める人へ伝えたいこと

怖がる必要はないが、甘く見てはいけない

スズメバチは確かに危険な生き物ですが、過度に恐れる必要はありません。

何しろ、ボクが林業を始めて15年で、初めてこのような経験をしたからです。正しい知識と準備があれば、リスクを大幅に減らすことができます。

ボク自身、今回の体験で林業を辞めようとは思いませんでした。それは、スズメバチとの遭遇が林業という仕事の一部であり、適切に対処すれば恐れるに足りないものだと理解しているからです。

しかし同時に、「大丈夫だろう」という油断が最も危険だということも学びました。山は私たちに多くの恵みを与えてくれますが、常に謙虚な姿勢で向き合わなければなりません。

これから林業を始める人へのアドバイス

  • スズメバチについて正しい知識を身につける
  • 必要な装備を怠らない(ポイズンリムーバー、救急セット、連絡手段)
  • 先輩から実践的なノウハウを学ぶ
  • 自分の体質を知り、必要に応じて医療的な準備をする
  • 万が一に備えたシミュレーションを繰り返す

安全対策を「当たり前」にすることが大切

林業の現場で働く中で、最も危険なのは「慣れ」です。毎日同じ作業を繰り返していると、安全確認が形骸化し、「まあ、今日も大丈夫だろう」という油断が生まれます。

ボクも、何度も通った道だから、大丈夫だろうと高をくくっていました。しかし、事故や怪我は、そんな「いつもの日」に突然起こるものです。

だからこそ、安全対策を特別なことではなく、「当たり前」の習慣にすることが重要です。

  • 常に周囲の確認
  • 蜂アレルギーへの耐性を知っておく
  • 刺されたときの対処法
  • 緊急時のルート確認

これらを毎回、確実に実施することで、リスクは大きく低減します。面倒に感じるかもしれませんが、これが自分の命を守る最も確実な方法なのです。

おわりに

kitajin

林業の現場では、スズメバチとの遭遇は日常の光景の一つです。
しかし、スズメバチに刺されることは、人によっては命に関わる重大なリスクを伴います。特に、一度刺されたことがある人はアナフィラキシーショックの危険が高まるため、より慎重な行動が求められます。

それでも、正しい知識と対策があれば、スズメバチの脅威を大きく減らすことができます。防護対策、巣の位置確認、仲間との情報共有、そして万一の際の行動手順――これらを徹底することこそが、自分の身を守る最善の方法です。

今回の体験を通して、ボクは改めて「備えることの重要性」を痛感しました。そして、この教訓を共有することで、同じような事故を未然に防ぎたいという思いで、この記事を書きました。

林業は厳しい仕事ですが、同時にやりがいのある素晴らしい職業でもあります。
これから林業を始める方、すでに従事している方、そして自然の中で活動するすべての方が、スズメバチの脅威に晒されても、落ち着いて対処できるように――その一助となれば幸いです。

この記事が少しでも役立つことを願っています。どうか、安全第一で。

-林業浜松